研究課題/領域番号 |
26460803
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
原田 規章 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70116747)
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研究分担者 |
HOSSAIN Mahbub 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80535336)
長谷 亮佑 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30711262)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 振動障害 / 凍結保存血液 / 手腕振動 / 急性負荷 |
研究実績の概要 |
我々は、振動刺激が末梢血管を収縮し、手指の白指発作(レイノー現象)を生じるとのこれまでの一般的な議論と異なり、末梢血管における振動負荷の直接効果は血管拡張、作業時の寒冷等のストレス刺激による交感神経系を介した間接効果が血管収縮をもたらす、その結果、振動作業者には全身寒冷負荷に対する過剰な交感神経反応機序が形成されるとの仮説を有している。 本研究の目的は、現在では得がたい、合併症を有しない典型的症状を有する振動障害者の25年前の凍結血漿を用いた解析と、健常被験者に対する新たな急性振動負荷実験により、議論の多い振動障害の末梢循環障害機序における我々の仮説を検証することである。それにより、振動障害の新しい診断方法の確立、予防対策の推進に貢献することが期待できる。 2014年度には凍結血漿分析の準備を進め、一部の分析と25年前の関連所見との関連の解析を中心に行った。その成績を経過報告として、国際誌に掲載するとともに、英国における関連研究集会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
山口大学衛生学教室で-80℃冷凍保存されている全身寒冷負荷前後の血漿試料を用いて、末梢における血管収縮機序の検討のために、血管内皮における収縮(エンドセリンー1)、拡張(CGRP)、血管壁炎症(高感度CRP)、血小板凝固系傷害(vWF)の各機序のマーカーの測定環境の整備と分析準備を行った。さらに血漿試料の一部を用いた測定を実施、その成績と調査当時に収集された被験者の振動曝露データ、振動障害関連一般検査、血漿中カテコールアミン、心拍変動等の所見と併せた解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1 平成26年度に得られた研究成績を踏まえて、継続分析と継続実験を行う。 2 血液試料の継続分析 平成26年度の研究結果に基づいて、1987年当時の分析データとの関連検討、凍結保存血液 の追加分析として、血管内皮における血管拡張系のマーカーであるサブスタンスPとCGRP(Calcitonin gene related peptide)、内因性血小板凝固系傷害のマーカーとしてvWF(von Willebrand Factor)の測定系を見直しを行う。 3 振動曝露実験の継続 健常被験者に対する振動パラメータ、筋緊張条件、負荷環境条件を変えた追加の急性振動負荷実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
凍結血漿分析の一部、特にサブスタンスPの測定キットにおいて、他物質の相互干渉が明らかになり、精度が確認されたキットの完成を待つ必要がでてきたこと、その影響もあって急性振動負荷実験が遅延したことにより、次年度に実験にかかる費用を持ち越したいため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に得られた研究成績を踏まえて、継続分析と継続実験を行う。血液試料の継続分析 平成26年度の研究結果に基づいて、1987年当時の分析データとの関連検討、凍結保存血液 の追加分析として、血管内皮における血管拡張系のマーカーであるサブスタンスPとCGRP(Calcitonin gene related peptide)、内因性血小板凝固系傷害のマーカーとしてvWF(von Willebrand Factor)の測定を行う。 振動曝露実験の継続 健常被験者に対する振動パラメータ、筋緊張条件、負荷環境条件を変えた追加の急性振動負荷実験を行う。
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