研究課題/領域番号 |
26460803
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
原田 規章 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (70116747)
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研究分担者 |
Hossain Mahbub 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80535336)
長谷 亮佑 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30711262)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 手腕振動 / 手指振動感覚 / 手指血流 / 皮膚機械受容器 / 機械受容器刺激周波数 |
研究実績の概要 |
複数の健常被験者において、まず、①右手示指および小指の3周波数の振動感覚閾値(4 Hz、31.5 Hz、125 Hz、以下:VPT)、②拇指を除く右手背側の4指の血流(以下:FBF)、の基礎値(負荷前値)が測定された。次いで、各被験者に木製の振動負荷プラットフォームを拇指を除く右手4指を用いて2 Nの力で5分間押さえさせ、2種類の振動条件(31.5 Hzと125 Hz、周波数補正振動加速度5.5 m/s2 rms)と、振動の無い対照条件、あわせて3条件の負荷をランダムな順で行った。その後、負荷後のFBFとVPT負荷の測定が行われた。VPTに関しては、31.5 Hzと125 Hzの振動負荷により、4 Hz、31.5 Hz、125 Hzのうちの31.5 Hz、125 HzのVPTにおいて有意な上昇が認められた(P < .01 to .001)。FBFに関しては、31.5 Hzと125 Hzの振動負荷により血管拡張、振動負荷の無い対照条件では逆に血管収縮が、それぞれ有意に認められた(P < .05 to .01)。同レベルの生体影響を有す(ISO 5349-1)と考えられる周波数補正加速度が同値の異なる2種類の周波数の振動負荷によるVPTとFBFの連動した変化は高い周波数(125 Hz)負荷の方が大きいことが示された。より強い振動負荷によるVPT反応は主としてパチニ機械受容器が関わっていると考えられる。今回観察された反応はISO 5349-1で予測される変化に対応しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の一部として、急性手腕振動負荷による健常ボランティアの機械受容器知覚と血流の連動した変化について実験的研究を実施した。各被験者はそれぞれ4回のスケジュールで実験に参加し、データは手指の掌側と背側から収集された。得られたデータに対し、現在、より詳細な解析を行なっており、関連学会での発表を準備中である。そこでの討議を経て論文にまとめ、査読付きの学術雑誌に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまで3年間に得られた研究成績における不統一点を含めて総合的に解析し、手腕振動暴露の循環影響について、その機序を含めた新しい解釈を取りまとめ、関連学会、セミナー等での討議に付し、最終的な知見を学術雑誌に取りまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度行った解析の一部を平成29年度に変更したため、ソフトの購入費や人件費について未使用額が生じた。また、本年度に予定していた成果発表も29年度に持ち越したため、学会への旅費・参加費、論文発表に関わる経費などが未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
延長した1年において必要な調査・実験の実施、これらを含む4年間の研究成績を総合的に解析し、関連学会、セミナー等での討議、学術雑誌に公表する経費に使用予定である。
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