研究実績の概要 |
胆管がん発症の原因物質を究明するために、被疑ハロゲン化炭化水素類としてジクロロメタン(DCM)ならびに1,2-ジクロロプロパン(DCP)のほかに1,2-ジブロモエタン(DBE)と1,2,3-トリクロロプロパンpropane(TCP)を選び、それらの細胞障害性とDNA損傷性を培養細胞系により検索した。Ames法による遺伝子突然変異試験ではDCP、DCE、DBE、TCPのいずれも用量依存的な増加は得られなかった。ヒト不死化胆管由来細胞株であるMMNK-1細胞に1,2-DCP2.00 mg/mL DMEM High Glucose (with 1%DMSO) を24時間曝露させRNA を回収した。そのRNAを逆転写し、PCRを行い、電気泳動によりRNAの発現の有無を調べた。その結果、コントロール群と比べて曝露群にどの遺伝子も変化は確認出来なかった。GST T1、CYP2E1ともに発現していないことから1,2-DCPが代謝されていないと考えられ、1,2-DCP自身は変化を引き起こさなかったと考えられる。1,2-DCP代謝物の毒性を調べるにはS9mixで処置や、GST T-1遺伝子の導入などの工夫が必要であると考えられた。 次に、MMNK-1細胞にDBE5.00、2.50、1.25、0.63 mg/mL DMEM High Glucose (with 0.1 % DMSO) を24時間曝露し、RNAを回収した。そのRNAを逆転写し、PCRを行い、電気泳動によりRNAの発現の有無を調べた。その結果、コントロール群と比べて曝露群では、いくつかの遺伝子の変化が確認された。
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