研究課題
オフセット校正印刷会社労働者にみられた胆管がんは、ハロゲン化炭化水素類の高濃度曝露による業務上疾病とされたが、実験動物では再現されていない。それ故、我々は胆管がんとの因果関係を究明するために、ハロゲン化炭化水素類の代謝経路と発がん過程における活性体の生成を明らかにすることを目的に、細胞障害性、遺伝毒性を検討し、原因物質の追究を試みた。方法は、ヒト肝腫瘍由来のHepaRG細胞を肝細胞様および胆管上皮様細胞に分化させ薬物代謝酵素群を誘導後、1,2-dichloropropane (DCP)および1,2,3-trichloropropane(TCP)を24時間曝露し、細胞生存性をWST-8法により評価した。TCP処理によるmRNAレベルの変化はDNAチップを用いて調べた。次に、不死化ヒト胆管由来細胞株 (MMNK-1細胞: DMEM+5% FBS )にTNFα(100ng/mL)に4,6,8,10時間曝露した。曝露終了後、カラム抽出法で細胞からtotal RNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNA (5 mg)を合成した。このcDNAを使用してリアルタイムPCR法(SYBR法)でNFκB体と細胞超変異とクラススイッチ組み換えに関連する酵素の発現量を測定した。インターナルコントロールとしてβ-Actinを用いた。TCPの細胞毒性はDCPよりも強い。薬物代謝酵素の誘導は毒性に影響を与えなかった。TCP処理細胞のmRNA解析により、CYPおよびGSTよりもGSH再生系酵素蛋白のmRNA合成が高い。CYPの関与よりもGSHによる代謝活性化が毒性発現機構に深く関与している可能性が示唆された。ヒト胎芽由来胆管細胞を用いた検討では、TNFα処理は体細胞超変異とクラススイッチ組み換えに関連する酵素およびNFκBのmRNAレベルを増加させた。同酵素の胆管細胞変異への関与の可能性が示唆された。
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