研究課題/領域番号 |
26460808
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
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研究分担者 |
吉益 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40382337)
竹村 重輝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70511559)
津野 香奈美 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30713309)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 社会医学 / 手腕系振動 / 振動測定 / 個人振動ばく露 / 携帯端末 |
研究実績の概要 |
本年度は簡易振動ばく露計測器に携帯電話端末モジュールを付加し、測定値が電話無線回線を経由して、パーソナルコンピュータにリアルタイムに転送することが可能な機器の改良を行うと同時に、作業者個人のID(社員番号、組合員番号など)を入力し、振動工具の種類、使用予定時間などを簡易測定器から簡単に入力できる機能を付加する。具体的には、簡易振動計測器、携帯端末、コンピュータを用い、無線通信部にあたるハードウェアやソフトウェアおよび、コンピュータにおけるデータ管理システムソフトウェアの製作などの一連の開発を行なった。作業項目としては、1.簡易振動計測器の計測データ無線送信ユニットの製作、2.携帯端末の無線送受信ソフトウェア製作、3.データ収集システムのソフトウェア製作を行うことである。作業項目の各設計内容としては、1)無線送信ユニットの製作:改良した簡易振動計測器に接続し、振動データを無線通信により携帯端末へ送信する小型無線ユニット、2)無線通信方式:Bluetooth Class2(通信距離10m)、3)通信タイミング:簡易振動計測器の計測終了後の自動送信、4)振動計測器の改良を行い、接続コネクタを経由し、無線送信ユニットに接続、などである。上記の予定のうち、簡易振動測定器による測定値を読み取り、その値を携帯端末に入力送信するために、システム全体の設計変更に時間を要したため、今年度は作業項目1を完成し、作業項目2のクラウドサーバーシステムの構築中であり、次年度当初に同システムの完成、3)データ収集システムのソフトウェア製作を完成させる見込である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、本年度研究計画を次の4段階に分けて、開発研究を予定していた。 1:簡易振動計の改良:計測を作業者が1人で出来るようにし、簡単に計測が出来るような機器を改良する。簡易振動計(TVHP-001)に増設する無線用通信ユニットの開発。2:上記の機種の測定データを携帯やスマホからのデータの送受信が可能になるクラウドサーバーシステム構築の開発。3:上記クラウドサーバーシステムを介して、計測データを携帯端末(携帯やスマホ)から計測データを容易に送信できるような画面設計とそのソフトの開発。4:上記のシステムにより携帯から送られた振動計測データをクラウドサーバーを経由して基地局でのノートパソコンで受信後、振動値から得られる許容作業時間を計算し、その結果を携帯端末に転送するための、携帯で受信するときの画面とソフトの開発。 全体システム概念を構築する過程の最初の段階で当初予定していたシステムを変更する事態が生じ、その修正に時間を要した。具体的には、簡易振動計の計測値を計器内で処理し、振動計測値をBluetooth通信を通じて自動送信するシステムを考えていたが、システム構築が複雑で費用が高価になるため、システムを変更して、測定値を簡易振動測定器から読み取り、その値を携帯端末で送信するシステムに変更したためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度末で現在までの達成度で示した第2段階を構築中であり、平成27年度当初には、第3段階、第4段階を速やかに達成できる見込みである。 平成27年度は、平成26年度に開発されたシステムを林業作業現場で検証を行う。 開発された個人振動ばく露管理システムを和歌山県西牟婁郡森林組合の協力を得て、山間部において本システムを試験的に稼動させ、簡易振動計測器携帯端末による送信、ならびにPC(パーソナルコンピュータ)の受信環境の問題点を洗い出す。具体的には、和歌山県西牟婁森林組合事務所へのコンピュータの設置、林業現場での振動値測定を林業の作業内容とそれに伴う工具の種類ごとに、振動ばく露の評価を行なう。また、種々の物理的条件をもとに、季節(天候)を加味して地域横断的に複数回検討を行う。その際、振動工具管理責任者の立会いのもと、測定器、システムの問題点、取り扱い側の問題点双方の具体的問題点を把握する。 本研究では、西牟婁森林組合の組合員であると同時に健診受診者の中から協力者を募り、振動作業者の作業ごとに、主任、分担研究者、連携研究者全員が同行する形でタイムスタディーを行い、現場でシステムの稼動状況を詳細に検討する。季節的には、夏と冬の稼働状況、天候は雨天時の稼働状況についても検討する。同時に、作業者の操作のしやすさについても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、本年度研究計画を次の4段階に分けて、開発研究を予定していた。 全体システム概念を構築する過程の最初の段階で当初予定していたシステムを変更する事態が生じ、その修正に時間を要した。具体的には、簡易振動計の計測値を計器内で処理し、振動計測値をBluetooth通信を通じて自動送信するシステムを考えていたが、システム構築が複雑で費用が高価になるため、システムを変更して、振動計測器による読み取り値を携帯端末で送信するシステムに変更したためである。そのため当初の計画の4段階のうち、第2段階途中から最終の第4段階の開発に必要な経費が次年度(平成27年度)に生じることになる。
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次年度使用額の使用計画 |
26年度に予定されていた研究段階の3・4の開発に必要な約100万円程度の支出は平成27年度に発注される予定である。加えて、当初平成27年度に予定している林業現場でのシステム稼動に関する研究費が必要となる。
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