研究課題/領域番号 |
26460811
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
李 卿 日本医科大学, 医学部, 研究生 (50250048)
|
研究分担者 |
川田 智之 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00224791)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | カーバメイト系農薬 / NK活性 / Perforin / Granzymes / Granulysin / アポトーシス / 免疫毒性 / in vitro |
研究実績の概要 |
【目的】カーバメイト系農薬は殺菌剤と殺虫剤として使用されており、ヒトnon-Hodgkinリンパ腫の発症リスクを高めることが報告されていることからヒト抗癌免疫機能を抑制することが示唆されている。そこで、本年度はこれまでのデータをまとめてin vitro法を用いて免疫細胞株によるカーバメイト系農薬の免疫毒性を評価した。 【材料と方法】本研究はin vitroでカーバメイト系農薬Thiram、Ziram、ManebとCarbarylを用いてNK-92CI/MI細胞株、Jurkat T細胞株とU937単球細胞株を処理した後、NK活性、細胞内Perforin、Granzymes(Gr) A-B-3/KとGranulysin(GRN)レベル、アポトーシスを測定した。 【結果と考察】1.カーバメイト系農薬は用量・処理時間に依存してNK活性を抑制し、各農薬の強さの順位はThiram≒Ziram>Maneb>Carbarylである。2.これらの農薬は用量・処理時間に依存してNK-92CI細胞内Perforin、GrA-B-3/KとGRNのレベルを低下させ、各農薬の強さの順位はThiram>Ziram>Maneb>Carbarylである。3.農薬に対して各抗癌タンパク質の反応性が異なり、その抑制順位はperforin > GRN> Gr3/K ≒GrA ≒ GrBである。4.これらの農薬によるNK活性の抑制はNK細胞内Perforin、GrA-B-3/KとGRNの減少と関連する。5.これらの農薬が用量・処理時間に依存して免疫細胞死を誘導し、各農薬の強さの順位はThiram>Ziram>Maneb>Carbarylである。6.化学物質の免疫毒性評価においてNK細胞内Perforinの測定はNK活性測定の代替法として有望である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、カーバメイト系農薬は用量・処理時間に依存してNK活性を抑制し、NK細胞内のPerforin、GrA-B-3/KとGRNのレベルを低下させることを判明した。そのメカニズムとしてカーバメイト系農薬はNK細胞内のPerforin、GrA-B-3/KとGRNのレベル低下を通してNK活性抑制を導いた。またカーバメイト系農薬によるNKアポトーシスもNK活性抑制に関与している。 さらに本研究は化学物質の免疫毒性評価においてNK細胞内Perforinの測定はNK活性測定の代替法として有望であると示唆した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26-29年度の研究成果を踏まえて平成30年度ではカーバメイト系農薬による抗ガン免疫機能抑制のメカニズムをさらに追及していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
論文の誌上発表及び研究成果の国内・国際学会発表は次年度となったため、当初本年度に予算していた論文掲載料及び国内・国際学会発表用費用は次年度に使用することになった。
|