研究課題/領域番号 |
26460812
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
土屋 康雄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (60334679)
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研究分担者 |
山本 正治 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (40018693)
浅井 孝夫 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (60612736)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / チリ / 胆嚢がん / 胆汁 / メタゲノム解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、胆嚢がん多発国チリの胆嚢がん患者と胆石症患者を対象として、各々の胆嚢胆汁中に生息する微生物を次世代シーケンサーによりメタゲノム解析し、胆嚢がん患者試料中に特異的に存在する微生物を明らかにする。さらに得られた菌種が新たな胆嚢がん患者から採取した胆汁中から検出されるかどうかを遺伝学的検索によって検証するものである。 平成26年度の計画は、海外研究協力者との打合せ後、胆汁試料を採取し、採取した胆汁からDNA抽出を行うことであった。平成26年9月にチリのサンティアゴにあるソテロデルリオ病院とボリビア、ラパスにあるボリビア・日本消化器センターを訪問し、各々の国の研究者と研究打合せを行った後、胆汁試料の採取、採取した試料のフリーザー中での保存を依頼した。平成26年度末までに、ボリビアで3例の胆嚢がん患者と40例の胆石症患者から胆汁試料を採取することができた。チリでは胆嚢がん患者1例、胆石症患者5例から胆汁試料を採取することができた。 平成26年度中には、チリおよびボリビアにおいて目標とした患者試料数(10例の胆嚢がん患者、10例の胆石症患者)を得ることが出来なかったことから、平成27年度においても引き続き試料の採取をお願いしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度中に、チリの胆嚢がん患者と胆石症患者の各々10例から胆汁を採取できると想定して研究をスタートさせたが、特に胆嚢がん患者からの胆汁試料採取が難航している。この理由はおもに次の2つの理由からである。 1.チリで胆嚢がんと診断される患者のほとんどは進行している状態で診断されるため、胆嚢中の胆汁量は少なく、胆摘胆嚢中から胆汁を採取することが困難であること。 2.胆嚢がんと診断された患者のうち、進行がんであった場合は多くは経済的な理由から開腹手術を望まず、このために胆汁採取が困難であること。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度中に胆嚢がん患者と胆石症患者からの胆汁試料の採取を終了し、メタゲノム解析をスタートさせる予定でいる。現地の研究者には、可能な限り早く試料採取を終了するように依頼している。試料が採取され次第、現地を訪問して試料を受領し、保冷状態で日本に持ち込む予定である。 当初は、チリ患者からの試料を解析する予定でいたが、チリでの試料採取がボリビアより遅れていることから、場合によっては試料採取が進んでいるボリビアの胆嚢がん患者と胆石症患者の胆汁を試料として解析することも考えている。 胆汁からのDNA抽出は、市販のDNA抽出キットを用い、粘性が高い胆汁を滅菌生理食塩水で適宜希釈し、高速遠心沈殿させ、沈殿物からDNA抽出を行う。16S rRNA領域のプライマー設計は高速シーケンス解析用アダプター配列を付加した細菌の16S rRNA領域に特異的なプライマーを調整する。デザインされたPCRプライマーを用いてPCR増幅を行い、PCR産物を得る。調整したPCR産物を用いて、次世代シーケンサーによる配列取得を行う。その手順は、GS FLX+またはMiSeqを用いたシーケンスにより胆嚢がん患者と胆石症患者に特有な配列データを取得する。各々のデータを16S rRNAデータベースに対する相同性検索を行い、試料毎に該当する菌種をリストアップする。RDP classifierによる系統分類を行い、分類結果を出力する。 得られた結果を比較することにより、胆嚢がん患者と胆石症患者の胆汁中に存在する菌叢の違いを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年9月のチリとボリビアの研究協力者との研究打合せ後に胆嚢がん患者と胆石症患者から胆汁試料の採取をスタートさせたが、半年間では目標とした各々10例の試料数を確保することができなかった。 目標とした試料数に達しなかったことから、平成26年度中には胆汁試料中からのDNA抽出を行うことができず、試料受け取りのための日本とチリ往復のための旅費と、DNA抽出のための試薬類の購入費を支出する必要が無く、この部分が次年度分として残された。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度は、研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため当初の予定額と執行額は異なったが、研究計画には変更はなく、平成27年には前年度の研究費も含め、予定通りの計画を進めていく予定である。 平成27年度中に、海外研究協力者が目標とした試料数を採取でき次第、チリ、ボリビアのいずれか、あるいは両国を訪問し、試料を受け取り日本に搬入する予定である。胆汁中からのDNA抽出は市販のDNA抽出キットを用いて行い、得られたDNAをもとにした胆汁中の微生物叢のメタゲノム解析は外部委託する予定である。また、研究支援雇用費として、患者データのコンピュータ入力やDNA抽出などのために補助員の雇用を予定している。
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