研究課題
新規抗インフルエンザ薬ファビピラビルは、日本国内で開発された純国産の薬剤であり、現在、日本国内でのみ条件付きで製造販売が承認されている。そのため、世界に先駆けてファビピラビル耐性ウイルスの検出系を開発する必要がある。ファビピラビルは、現在ヒトの世界で流行しているA(H1N1)pdm09ウイルス、A(H3N2)ウイルスおよびB型ウイルスのすべてを対象としているため、すべての型、亜型のウイルスに対応し得る耐性ウイルス検出系の開発が必須である。本研究では、インフルエンザウイルスによる細胞変性効果(Cytopathic effects; CPE)をもとにウイルスの増殖能を簡便に測定する方法を確立し、50% Effective Concentration (EC50)値を指標として、ファビピラビルに対する耐性ウイルスを検出する系を構築した。これらの成果について論文にまとめ、学術雑誌に投稿中である。また、2014年末から2015年にかけてインドを中心にA(H1N1)pdm09ウイルス感染による死者が多数報告されたため、当初の研究計画を一部変更し、インドで流行を起こしたA(H1N1)pdm09ウイルスについて性状解析を実施し、リスク評価を行った。その結果、インド株は現在日本国内で主に使用されている4種類の抗インフルエンザ薬すべてに対して感受性を保持しており、さらにワクチン株と同様の抗原性をもつことからインフルエンザワクチンの効果も期待されることが明らかになった。これらの結果について論文にまとめ、広く情報提供を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、新規抗インフルエンザ薬ファビピラビルに対する耐性ウイルスの検出系を構築できた。
今後は、新規抗インフルエンザ薬ファビピラビルに対する耐性ウイルスの検出系に関する論文について、学術雑誌への掲載作業を進めると共に、現行の抗インフルエンザ薬に対する耐性ウイルス検出系の改良を行う。
年度末納品等にかかる支払いが平成28年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成27年度分についてはほぼ使用済みである。
上記のとおり。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
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