研究課題
インフルエンザの治療・予防には主に、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)蛋白質を標的とするNA阻害剤が使用されている。日本は世界最大級のNA阻害剤使用国であり、薬剤耐性ウイルスの出現リスクが高い。したがって耐性ウイルスの発生動向の把握は公衆衛生上極めて重要であり、継続的な薬剤耐性ウイルスサーベイランスが必須である。現行のNA阻害剤耐性ウイルスの検出系にはMUNANA基質を用いる蛍光法、NA-StarあるいはNA-XTD基質を用いる化学発光法があるが、いずれもウイルス分離株を用いるため、培養細胞を用いて臨床検体からウイルスを分離する必要がある。したがって、臨床検体中に含まれるウイルス量が少なくウイルス分離が困難な場合には、耐性ウイルスを見逃す危険性があった。そこで本研究では、高感度のQFlu基質を用いる化学発光法によりウイルス分離を行わずに臨床検体中の耐性ウイルスを直接検出する系を確立した。中国でヒトへの感染が続いている鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスあるいは高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス等について、抗インフルエンザ薬耐性ウイルスの検出をより安全に実施するために、Triton X-100またはβ-プロピオラクトンによりウイルスを不活化し、不活化ウイルスを用いる検出系を確立した。MUNANA基質を用いる蛍光法、NA-StarあるいはNA-XTD基質を用いる化学発光法のいずれにも対応可能である。
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