実験動物やヒト由来培養細胞を用いて1,2-ジクロロプロパン(DCP)DNA損傷性の有無及びその誘発機序を検討した。DCP暴露後にDNA損傷が誘発され、またCYP2E1などの酵素がその代謝活性化と遺伝毒性の発現に関与していることが判明した。中間代謝物であるmethyl glyoxal(MG)が胆汁から高濃度で検出され、DNA損傷を誘発することが確認された。活性酸素種濃度もDCP暴露に伴って上昇した。一連の検討からDCPは体内でCYP2E1などの酵素の触媒で代謝され、MGなどの活性中間代謝物による遺伝毒性や酸化代謝からの活性酸素種によるDNA損傷がDCPによる職業性胆管癌を誘発すると考えられる。
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