研究実績の概要 |
本研究は、一般生活環境中で広範に使用される殺虫剤、可塑剤および難燃剤の一般子どもへの曝露レベルとその吸収量を明らかにすることを目的とする。 平成26年度は、住宅等での使用量が近年急増しているピレスロイド系殺虫剤の一種メトフルトリンの曝露における吸収量の指標となり得る尿中代謝物を検索した。さらに、生活環境下において曝露される可能性が高い、メトフルトリンを含む複数のピレスロイド剤の吸収指標となる尿中代謝物の分析方法を確立した。 ラットの腹腔内に一定量のメトフルトリンを投与 (10, 26, 64及び 160 mg/kg) 後、定期的に一週間採尿した。主要な代謝物3種の尿中排泄量の時間推移を薬物動力学的に解析した。吸収されたメトフルトリンの体内からの消失過程において最も重要な経路は尿中排泄であることが示唆された。代謝物4-メトキシメチル-2,3,5,6-テトラフルオロベンジルアルコールの尿中排泄量は、メトフルトリン投与量の約30%を占め、分析対象とした代謝物中最も多く、広範なメトフルトリン曝露濃度レベルにおいて、その吸収量に比例すると推定された。したがって、本尿中代謝物はメトフルトリン曝露における最適な吸収量モニタリング指標となり得ると考えられた。 ピレスロイド剤の尿中代謝物11種を対象として、これらのガスクロマトグラフィー/質量分析による定量方法を検討した。代謝物は、酵素 (β-グルクロニダーゼおよびスルファターゼ) で抱合を加水分解したのち、酸性下トルエンで抽出した。抽出液を濃縮したのち、代謝物を誘導体化 (アルコール類:トリメチルシリル化、カルボン酸類:tert-ブチルジメチルシリル化) し、内部標準法により定量した。各代謝物は、30 μg/l以下の尿中濃度において正確に再現性よく定量可能であった。採取した尿試料は1ヵ月間-20℃にて冷凍保存可能であった。
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