2014年10月から高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンが定期接種になった。5年スパンで65歳以上の者全員がカバーされるように、各年に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる者が助成対象者となる。初年度ではこれらの対象者に加え101歳以上の高齢者も対象となっている。本研究は、「現行PPSV-23接種ストラテジー」と「PPSV-23・PCV-13選択可能接種ストラテジー」を設定し、PCV-13が定期予防接種助成対象ワクチンに加わった場合の肺炎球菌ワクチンの効率性について分析を行った。肺炎球菌起因の侵襲性疾患(髄膜炎、肺炎を伴う菌血症と肺炎を伴わない菌血症を含む)および非侵襲性疾患の罹患率、後遺症の発現率、各種費用データを用いて、マルコフ・モデルを作成した。疫学データは国内の文献から、ワクチン効果は海外の文献から引用した。その結果、現行PPSV-23 接種ストラテジーと比較した「PPSV-23・PCV-13選択可能接種ストラテジー」の1QALY獲得あたりの増分費用は藥37.9万円であり、定期接種助成対象ワクチンとしてPCV-13の導入は費用対効果に優れると考えられる。
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