研究実績の概要 |
対象自治体の国民健康保険被保険者の診療報酬明細書データ25,334,467件、特定健康診査データ479,877件、国民健康保険資格データ1,941,264件をデータベースに蓄積した。 解析対象者は、2012年度に行われた特定健康診査を受診した40-74歳の被保険者54,760人のうち、2012年度に入院レセプトおよび腎不全のレセプトがなく、特定健康診査データに欠損がない50,727人とした。対象者を、①正常群(HbA1c<6.5%かつ服薬なし、n=46,076)、②未治療群(HbA1c≧6.5%かつ服薬なし、n=1,991)、③コントロール良群(HbA1c<7.0%かつ服薬あり、n=1,598)、④コントロール不良群(HbA1c≧7.0%かつ服薬あり、n=1,062)の4群に分類した。2013-2015年度に提出された診療報酬明細書データおよび資格データを用いて、対象者それぞれについて、ひと月当たりの総費用額(医科入院+医科入院外+調剤)、外来費用額(医科入院外+調剤)、入院費用額を算出した。Two-partモデル(First part: logit model、second part: gamma model)を用いて、上記4群間の医療費を比較した。 未治療群の総費用額および外来費用額は正常群に比べて有意に高く(p<0.001)、コントロール良群およびコントロール不良群に比べて有意に低かった(p<0.001)。糖尿病の治療により医療費が抑制できることを推察したが、糖尿病の治療自体(服薬やインスリン投与など)にかかる費用額を超える医療費抑制効果は認められないことが示唆された。一方、入院費用額は、未治療群とコントロール良群の間に逆転現象が認められ、未治療群の入院費用額は、コントロール良群のそれより高かったが、統計学的な有意差は認められなかった(p=0.653)。
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