研究課題
本研究の対象である自閉スペクトラム症(ASD)は他の発達障害を併存することが多い。発達性ディスレクシア(DD)の同胞例や就学前よりDDが疑われた症例の臨床背景、発達歴、認知機能、臨床診断や読み書き能力の特徴などについて同胞間での比較検討や幼児期の特徴についての検討を行った。他の発達障害よりも遺伝的背景が似通っていると予想されるDD同胞例においても臨床像が異なる例が多く、発達障害の発症要因の多様性が示唆された。また、就学前はDDの臨床特徴が目立たず、ASDなど他の併存疾患も重なり気づきが遅れることがあり注意が必要である。ASDのきょうだいには、DDなどの併存疾患を含めた評価に基づいた対応が必要である。これらの内容は、第58回日本小児神経学会総会で報告した。また、ASDを含めた発達障害はてんかん性発射を有することが多いが、その神経基盤については不明な点が多い。てんかんを発症していない発達障害児を対象に、てんかん性発射の有無で脳波を非線形解析やグラフ解析を用いて検討したところ、てんかん性発射を有する群では、前頭部でのγ波の複雑性およびδ波の平均経路長(神経ネットワークの広がり)の低下を認めた。ASDを含む発達障害のてんかん性発射の神経基盤として、GABA神経活動の異常と神経ネットワーク構造異常が関連している可能性が考えられた。非線形理論およびグラフ理論を用いた脳波のネットワーク解析は、神経発達障害におけるてんかん性発射の神経基盤を探る有用な手段となりうると思われた。これらの内容は、第50回日本てんかん学会で報告した。ASDのきょうだい支援活動は、参加者の特性やニーズに応じた活動や支援を行った。参加者やその保護者に対して行ったアンケート調査からは、高い満足感とともに、肯定的な評価が得られた。
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Sci Rep
巻: 6 ページ: 37875
10.1038/srep37875.