在宅医療において医療依存度が高い要介護者は今後ますます増加することが予測される。 昨年度までの本研究では、どのような労働環境で働くCMが、医学知識が多い自覚があるか、さらに、どのような労働環境で働くCMが要介護者の医療を考えるのに必要な「疾患」や「老年症候」について実業務で携わっているかを検討してきた。結果は、同一事業所で医師と連携しているCMは、そうでないCMと比較して、自分の医学知識が多いと評価し、携わる「疾患」や「老年症候」の数が多かった。またCMは、医師や看護師との連携の有無にかかわらず薬剤師または栄養士と連携することと、携わる「疾患」や「老年症候」の数が多いこととに関連が診られた。 また28年度の本研究では、CMに通年の系統的医学教育を施行することが、CMと多職種との連携促進となるか、またCMが実業務で携わる「疾患」や「老年症候」の数を増やすことになるか、前向きに検討した。結果は、CMへの系統的医学教育はCMの多職種連携促進と関連を認めず、またCMが実業務で関わる「疾患」と「老年症候」の数は、CMへの医学教育前後で増加を認めなかった。これまでの報告と同様に、本研究に参加したCMの約90%はいわゆる非看護系であり医療リテラシーが低い状態での医学教育提供効果は不十分であった可能性が考えられた。また、今回検討した医療依存度の高い疾患を扱う事業所が限られる可能性が高く、CMが帰属している事業所によっては系統的医学教育で疾患を学んでも、実地で学んだ知識を生かせない可能性が考えられた。しかし老年症候は、疾患と比較してCMには観察が容易で多職種間の共通言語として機能する可能性が高く、さらに老年症候は、疾患と同様に高齢者の自立維持に密接に関連することが報告されており、今後のCMの医学教育は疾患教育より老年症候教育に注力するほうが、CMと多職種との連携促進に有効であると推察された
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