研究実績の概要 |
2018年度は,前年度に行った簡易分析に加えて,市へ提出する報告書を作成した。 また,学会発表および論文で研究成果をまとめた。その一例として,地域高齢者におけるJST版活動能力指標と社会・余暇活動への参加数との関連を発表した。 【方法】愛媛県A市において,2016年に65歳以上の全数を対象に総合健康調査を実施した。その内,ADLが保たれている高齢者5,786名(男性2,534名,73.9±7.2歳,女性3,252名,74.8±7.5歳)を分析対象とした。JST版活動能力指標、ならびに社会・余暇活動として,「祭り・行事」,「自治会・町内会」,「サークル・自主グループ」等,計11種類の参加ありの数を算出した。なお,本調査は,愛媛大学大学院医学系研究科の倫理委員会の承認を得て実施した。 【結果】JST合計得点は男性9.5±4.0,女性9.5±4.0で性差は認められなかった。社会・余暇活動への参加数は,最頻値は男女ともに1であった。ただし,男女ともレンジは10であり,3以上は数が少ないため1群に統合した。JST合計得点やJSTの下位項目を従属変数,性および社会・余暇活動への参加数(0, 1, 2, 3以上)を独立変数とした二元配置分散分析を行い,性と社会・余暇活動への参加数がJST合計得点に及ぼす影響を検討した。その結果,JST合計得点とJST下位項目については,性,社会・余暇活動への参加数に関する主効果,および交互作用に有意な関連を示さなかった。ただ,JST下位項目の「2. 情報収集」については,主効果は認められないが,交互作用は有意であった(p=0.024)。そのため,Bonferroniによる単純主効果の検定を行ったところ,社会・余暇活動への参加数のうち,その数が2の場合において性の主効果が有意であり(p=0.049),男性よりも女性が高かった。
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