高齢化の急速な進展とともに寝たきりや認知症の高齢者が増加し、高齢者のQOL維持及び介護負担が問題となっている。地域においても健康寿命維持と健康寿命延長の観点から老化促進および老化緩和に関連する因子、および認知症促進及び緩和に関連する因子の探索と、それらの因子を活用した対策の実施が期待されるが、今日まで確実なバイオマーカーは同定されていない。 一方小型哺乳類では、摂取エネルギー制限(カロリー制限、CR)による老化防止や生活習慣病発症の抑制、健康寿命の延長効果は広く知られており、霊長類についても同等の効果が報告されている。 ヒトについてはボランティア群でエネルギー制限実施前後を比較すると、小型哺乳類と類似したいくつかの血中因子の変動が報告されている。これらの血中因子の変動はエネルギー制限による老化緩和と関連していると考えられるが、ヒトの一般集団において、これら血中因子と摂取エネルギーとの関連についての報告は知られていない。 平成28年夏に対象地域で、同意を得た一般住民の血液検査と摂取エネルギー測定を主たる目的とした栄養調査を行い、一般健診での測定結果等を含めて解析を行った。
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