研究課題/領域番号 |
26460841
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研究機関 | 東北文教大学 |
研究代表者 |
渡邊 孝男 東北文教大学, 人間科学部, 教授 (20004608)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域保健 / 小児食塩摂取量 / 食塩モニタリング / 食物・食品 / 給食 / 減塩 / 食育 |
研究実績の概要 |
食塩の健康影響は生活習慣病予防の観点からも重要な課題である。社会的に保育環境の整備が目指される中、施設給食は幼児期からの効果的な生活習慣育成に重要な役割を担っている。本研究は山形県内小児の食塩摂取量レベルを調査し、望ましい食塩の摂取状況への取り組みしてあり減塩に結びつく生活・食育指導のための基礎デ-タの構築と検討を目的に実施する。 山形県内調査に先立ち研究者らが2000~2004年に日中韓幼稚園児の陰膳実測法による食事からのナトリウム(Na)、塩素(Cl)、カリウム(K)の摂取および尿中の濃度結果を幼稚園、性、年齢、地域・国別に解析し、食塩摂取の変動要因を明らかにし、山形県内の調査に際しての基礎資料と調査協力者に食塩摂取量の現状と減塩への取り組み課題について理解と関心を持っていただくための検討を行い、成果は学会で発表した。 1)宮城県内15幼稚園男女296名のNa、Cl、Kの1日平均摂取量は、それぞれ1933、2996、1465mgであり、食塩としては4929mgである。幼稚園別の食塩摂取量は最小値の3818mgから最大値の6085mgと幅がある。性、年齢別の食塩摂取量(体重1kg当)には特定の変動は認められず、ほぼ同レベルである。2)韓国4幼稚園園児109名のNa、Cl、Kの1日平均摂取量は2420、3822、1815mg、食塩としては6242mgである。中国9幼稚園園児169名のNa、Cl、Kの1日平均摂取量は2054、4063、1235mg、食塩としては6117mgである。園別の食塩摂取量には宮城同様に大きな変動が見られる。3)尿中塩素濃度:スッポト(早朝一時尿)を用いた。男女別の塩素濃度は宮城が4189と4160mg/L、韓国が3417と3505mg/L、中国が3513と3289mg/Lである。排泄濃度は尿性状の影響が大でその補正が必要である。4)K摂取量:Naの代謝〔排泄等〕にはK摂取量の影響が指摘される。本対象群はいずれもNaに比してK摂取量が少ない状況であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1)研究者と地域との連携が十分に取れず、結果的にフィ-ルド調査の対象の選定に遅れを来たしていることによる。しかし、研究者の所属する大学は地域の幼稚園や保育園との関係が深く、関係者の多くは本学の卒業生であることから残されている期間で速やかに 調査実施を進める。2)本学が新設大学ということで実験施設、設備の整備が十分でなく、その整備に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
1)前年度の計画を引き続け、各地域ごとの食品流通、食塩摂取量に関する基礎情報の収集と食品検体の採取と食塩濃度の測定を実施する。2)山形県内の村山、最上、庄内、置賜の4地方の調査拠点の保育園を出来るだけ早く決定し、準備ができ次第、保育園で提供されている給食の収集に協力を頂いて逐次調査を実施する。3)保育環境等の関連情報はアンケ-ト調査方法により収集する。4)食塩摂取量についての4地域の成績がまとまり次第、各園および保護者等に個別に報告する。5)全体の調査結果をまとめ保育園関係者、保育士の皆さんに呼びかけて報告会と減塩に向けた取り組みついて意見の交換を行い、4年目以降の取り組みに具体的結び付けられように検討する。6)調査結果は個人を匿名化し、今後のためのデ-タ-ベ-スを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
保育園での食事調査が計画通りに実施できなかったことにより、予定していた調査協力者金および食事費用の負担の支出が生じなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度実施予定分を28年度調査で網羅するために調査協力謝金、食品購入費用、食事費用金および調査出張慮貴として使用計画を作成する。
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