研究実績の概要 |
目的)県北の高齢者介護施設を研究場所として、高齢要介護者の認知機能と難聴について、2年間の観察研究およびその後の介入による追跡調査を行った。指標としては、聴覚チェッカーによる純音聴力検査、語音想起検査、語音復唱検査を行い、認知機能検査としては、MMSE,やる気スコア、バーセルインデックスなどをおこなった。また基礎疾患およびADLにもとずく分類を行うことでそれぞれの寄与度についての統計学的な考察を行う計画で本研究を行った。 実施上の課題)観察期間3年半において、約半数が脱落したため、十分なN数の確保が行えなかったが、解析の変数を考慮することによって、以下のような予備的結果をえることができた。 得られた結果)第1段階としての観察研究によって、難聴と認知症についての相関は弱く、いずれかがもう片方の悪化に寄与するという事実は統学的には確認出来なかった。3年目以降は、音場スピーカシステムを用いた介入群と非介入群(コントロール)での追跡を1年半にわたり行った。介入群において意欲(やる気スコア)の有意な改善を認めることが観察された。 今後の計画)現在は他の項目における寄与度についての統計学的な解析を行っており、本年度中にこれらをまとめ報告として本研究をまとめる(終了)とする計画で、現在行われている統計学的解析から難聴と認知症に関するそれぞれに予防において聴覚支援システムによる介入が一定の価値を持つことが統計学的にも有意であることが報告できる見込みである。
|