研究実績の概要 |
行動性睡眠不足症候群の患児は、攻撃性の高まり、注意・集中力・意欲の低下、落ち着きのなさ、協調不全といったADHDと類似した症状を呈することがあり、誤ってADHDと判断されることがある。真のADHDではないため、指導や治療により睡眠を十分にとることで軽快するので、薬物治療などは不要であり、かえって健康を害することになる。本研究は、そのような行動性睡眠不足症候群の中で、特に睡眠時無呼吸障害に着目し、それが原因となってADHD様の行動を取る子供の頻度を明らかにすることを目的とする。 2014年10月にM市教育委員会の多大なご協力をいただき調査実施に至った。調査時にM市に在籍する全小学生を対象とし、約90%の24,296名から回答を得た。うち、不完全な回答等を除き、17,769名のデータを解析し、短い睡眠時間と肥満の関連が実証された。また、短い睡眠時間とSDB(Sleep-disordered breathing)が問題行動と関連があることが明らかとなった。 2015年度はThe 48th Annual Meeting of Society for Epidemiologic Researchesおいて、「Sleep Habits Among Primary School Students in Japan」という演題で、調査結果の単純集計、特に、睡眠習慣についての報告を行った。 最終年度は調査結果をthe 2016 Epidemiology Congress of the Americasで報告するとともに、「Sleep Duration, Snoring Prevalence, Obesity, and Behavioral Problems in a Large Cohort of Primary School Students in Japan」をSLEEPに投稿し掲載された。
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