研究課題/領域番号 |
26460845
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
長田 洋和 専修大学, 人間科学部, 教授 (00365842)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネット依存 / 発達障害(神経発達症) / CU特性 / 児童・思春期 |
研究実績の概要 |
2014年度は,本研究課題で使用するネット依存の尺度として,すでに海外の研究で多く用いられている,Meerkerk et al. (2009) の Compulsive Internet Use Scale (CIUS) :強迫的ネット使用尺度,および Davis et al. (2002) の Online Cognition Scale;オンライン認識尺度の邦訳およびバックトランレーションを行った. 強迫的ネット使用尺度は14項目からなる尺度で,各質問項目に対して,(0) 全くない,(1) めったにない, (2) ときどきある, (3) よくある, (4) とてもよくある,の5件法で回答してもらうものである.オンライン認識尺度は,インターネットに対する考えを,1. まったくあてはまらない, 4. どちらとも言えない, 7. とてもよくあてはまる,の間で7段階評定で回答してもらう自記式の尺度である.いずれもバックトランレーションの作業を経て,原本のニュアンスに忠実に邦訳されていることが確認された. 加えて,Caril et al. (2013) の The association between pathological internet use and comorbid psychopathology: a systematic review を逐語訳を行い,昨今のネットの病的使用と関連する精神病理をまとめる中で,発達障害(神経発達症),とりわけ注意欠如・多動症(AD/HD)との合併が非常に多く認められる他,強迫症状,および反抗/攻撃性との関連が強いことが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネット依存尺度の邦訳は,本研究にとって不可欠なものである.すなわち,現状,わが国のネット依存研究あるいはまた臨床で用いられている Young によるの尺度は,内容的妥当性において問題があると考えられるので(すなわち,1995年に作成されたもので現状のネット環境とは合わないという観点から),本研究の参加者である児童・思春期の子どもの世代に即した尺度が必要である.その意味で,日本語版が整備されたことは研究進捗状況の初年度としては概ね順調であると言える.
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今後の研究の推進方策 |
強迫的ネット使用尺度,オンライン認識尺度,CU特性尺度,およびADHD-RSを全国の小・中学生に対して,無作為抽出方法により小学校2000校,中学校2000校の計4000校に配布,回収を行う.合わせて,ネットでの回答を試みる.その際には,研究代表者が先の科研費の成果として作成しているホームページ上にリンクを貼り,スマートホンでも回答可能な利便性の高い回答法を設定する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
邦訳・バックトランレーションまでを進め,配布までは至っていないこと,また海外への出張が,先方の都合もあり,延期されたこと,および解析のためのパソコン購入に際し,モデルチェンジの時期が重なり,最新のマシンが2015年に発売となることを受け,初年度には購入しなかったこと,の3点が大きな理由である.
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次年度使用額の使用計画 |
上記のうち,配布は当初の計画では,初年度末を考えていたが,2年目の初頭で配布を行う.また,解析およびプレゼンテーションに用いるパソコンは,最新モデルの発売を受け,2年目の6月に購入する.海外出張(専門知識提供および研究協力)も先方と相談し,今年度は New Orleans に出張予定である.
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