Lopez-Fernandez et al. (2014) が開発し,各国語で翻訳,利用されている,Problematic Internet Entertainment Use Scale for Adolescents (PIEUSA) の日本語版の作成作業を行なった。小中学校への配布を行い,回答を求めた。得られた結果を後期青年期のデータと比較するために,全国規模の後期青年期に向けたWEB上での回答を求めた。 PIEUSAは既存のインターネット依存尺度とは異なり,現在のスマートフォン優位のネット利用にも対応している尺度であり,そのインターネットの病気的使用を測る上で,既存の尺度よりも極めて妥当性が高いものだと言える。また,欧米諸国あるいは中国,韓国といった極東アジアとはインターネット利用の様相も異なっていることから,我が国でのPIEUSAの有用性を見いだすことには社会文化的背景を考慮した,多分化精神医学の領域でも意義があるものとだと考える。 概して,小中学性は動画視聴が多く(YouTubeによるゲーム実況など),青年期ではインタラクティブなインターネットゲームの利用が相対的に多い傾向にあった。インターネットゲームは課金等が生じるため,おそらく金銭的な面で小中学生よりも後期青年期の方が多く利用していたものと考えられる。このことから,DSM-5にも挙げられているインターネットゲーム障害のスクリーニングの一助ともなり得ることが示唆された。 また,今回の研究では,インターネットの病的使用と神経発達症,とりわけ,自閉スペクトラム症と注意欠如・多動症との関連を探索的に明らかにしようとした。 今後は,PIEUSAと反社会的行動との関連を見いだすことで,注意欠如・多動症の診断を有する児・者の衝動性が上述のインターネットゲーム障害に関連した反社会的行動の発生予防に役立つことが考えられる。
|