成人におけるエイコサペンタエン酸(EPA)/アラキドン酸(AA)比は、心血管疾患の独立した危険因子として知られている。しかし、小児における報告は少なく、欧州の小児においていくつか報告があるが、アジア人小児を対象としたEPA/AA比に関する報告はない。そこで我々は、日本の代表的な米作地域である新潟県中魚沼群津南町において、中学3年生のEPA/AA比の分布を調査した。 新潟県津南町における2015~2017年度の中学三年生の健診対象者のうち、本人ならびに保護者の同意を得た児童175人(男児/女児115/60人、65.7/34.3%)を対象とし、EPA/AA比、総コレステロール、(TC)、中性脂肪(TG)、HDL-C、肥満度、空腹時血糖値、HbA1c、インスリン抵抗性指数を測定した。すべての値は中央値(25-75パーセンタイル)で示し、男女間の値をMann-Whitnery検定を用いて検討した。 測定結果の中央値(25-75パーセンタイル)はそれぞれ、EPA/AA比 0.13(0.09-0.16)、TC 160(140-175)mg/dl、TG 56(39-73)mg/dl、HDL-C 62(52-69)mg/dl、肥満度 -0.8(-7.5-9.4)%、空腹時血糖値 94(90-98)mg/dl、HbA1c 5.4(5.2-5.6)%、インスリン抵抗性指数1.7(1.4-2.2)であった。男児のEPA/AA比は0.12(0.09-0.16)で、女児は0.13(0.09-0.16)で、男女間で有意差を認めなかった(p=0.375)。 本研究は日本人中学3年生を対象としたEPA/AA比の分布を示した初めての報告である。本研究の結果と過去の欧州の報告を比較すると、成人だけでなく青年期でも東アジア人でEPA値が高い可能性が考えらえる。
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