研究実績の概要 |
公益財団法人日本医療機能評価機構医療事故情報収集等事業による公開データの解析 公益財団法人日本医療機能評価機構では2004年10月より医療事故情報収集等事業が行われており、その結果がWEB上で公開されている。腹腔鏡/胸腔鏡手術に関連するインシデントの特徴を明らかにすることを目的に以下の研究を行った。 対象と方法:公開データに関して、「腹腔鏡/ロボット/ラパロ/鏡視下/胸腔鏡」の5つのキーワードで事故事例報告を検索したところ、2015年3月末時点で553件が抽出された。レビュー後、実際に腹腔鏡/胸腔鏡手術関連インシデントであった335件を対象に、1. 報告の多い事例、2. 死亡事例の特徴を解析した。結果:腹腔鏡/腹腔鏡補助手術(L群)262件、胸腔鏡/胸腔鏡補助手術(T群)71件、腹腔鏡+胸腔鏡手術2件のインシデントが報告されていた。他臓器損傷(20.6%, 69/335)、異物遺残(19.1%, 64/335)、血管等の誤認(8.4%, 28/335)、血管損傷(6.6%, 22/335)の報告が多かった。L群で高率だったのは他臓器損傷(23.7%, 62/262)、異物遺残(20.2%, 53/262)で、T 群では血管損傷(19.7%, 14/71)、異物遺残(15.5%, 11/71)だった。38件の死亡イベントについて、血管損傷(n=7)、術後肺炎/呼吸不全(n=7)、術後出血(n=6)等が患者死亡に関わっていた。結語: 腹腔鏡手術と胸腔鏡手術においてインシデントに共通点と相違点がある。血管損傷、術後肺炎/呼吸不全、術後出血が重篤な転帰を生じる可能性がある。 以上の、研究結果を第29回日本泌尿器内視鏡学会総会(東京、2015/11/19-21)、 第28回日本内視鏡外科学会総会(大阪、2015/12/10-12)で報告し、現在論文作成中である。
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