本研究は2型糖尿病患者を対象に情報処理・言語処理装置を搭載した医療ICTシステム(DialBetics)を用いて糖尿病の自己管理を支援し生活習慣の改善と良好な血糖管理を維持することを目的とする。 基本システムは本システムでは2型糖尿病患者が自宅で測定した生体データ(血糖値、体重、血圧、運動量)がサーバーに自動送信される。データはコンピュータにより自動的に解釈・判定され、医学的リスクに応じて層別化される。リスクが高く、医師による確認が必要と判定されたデータは、ドクターコールとして医療従事者に報告され、必要に応じて医療従事者が患者に個別に対応する。それ以外のデータは、システムが自動的に対応する。更に患者が食事内容と運動内容を登録すると、登録内容に応じて生活習慣を改善するためのフィードバックが送られる。本システムはデータ送信モジュール、データ判定モジュール、運動量判定モジュール、食事判定モジュールの4つのモジュールから構成される。5つ目のモジュールとして患者の音声による登録内容に自動応答するAI(音声処理モジュール)を追加するため予備検討を行った。 これまでに実施した糖尿病患者の医療ICTシステムの利用意向調査の結果を元に、今年度は患者に対して糖尿病の療養指導を行い、それを録音して解析し、音声・言語処理装置に搭載するAI用の質問・回答集の作成とAI対話装置の開発に着手した。更に、患者からの入力が予想される質問をランダムにAI対話装置に登録し、AI対話装置の回答内容の正答率を調べた。全て東京大学医学部の倫理委員会の承認を得て実施した。
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