研究課題/領域番号 |
26460862
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
白鳥 義宗 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (20313877)
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研究分担者 |
清水 雅仁 岐阜大学, 医学(系)研究科(大学院), 教授 (90402198)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | クリティカルパス / 医療の質 / 電子カルテ / クリティカル・インディケーター / バリアンス分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,診断法や治療法のさらなる成績向上・効率化を目指し,医療の質を改善するために,多施設のデータを電子化された診療工程表(クリニカルパス法)を利用することにより,標準的に利用可能とする手法の開発を目指すものである。今年度の主な実績は下記のようである。 1. 標準アウトカムマスタ(Basic Outcome Master, BOM)の精緻化を行い,標準化した診療評価項目に沿って,科学的・統計的な処理を行い,診療行為そのものの評価を多面的に行うことができるように検討した。アウトカム評価を行い,複数施設間でベンチマークが可能となるように検討を進めた。 2.診療工程表(クリニカルパス法)をシステミックに改善していくために,Unified Modeling Language (UML図)を用いてワークフローを可視化し,診療プロセスの具現化を行えるような手法を検討した。これによりワークフローの問題点をパスによって改善していくことが出来る事を,視覚的に明らかにすることが可能となった。 3.代表的なパスにおいて,それぞれのパスで事前に設定しておいたクリティカル・インディケーター候補が真の意味でクリティカルな働きをしているのかどうかを検討した。今までに開発したツールを用いて,このクリティカル・インディケーター候補がクリティカルな働きをしていると考えられるのか,考えられないとすると,このツールを用いて隠れたクリティカル・インディケーターを見つけることが出来るのかのパイロット的な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までの実施状況はやや遅れている。 遅れている主な部分は,クリティカル・インディケーターの妥当性の検討において,具体的な検討から自動抽出する部分である。これは平成25年度末に研究代表者の所属施設変更があったことに伴い研究体制を整えるのに時間を要したことと、予定していた研究分担者が学長となり,研究分担者の変更を余儀なくされたことなど複数の要因が絡まっている。早期に遅れを挽回したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては,下記の3点を中心に検討している。 1.クリティカル・インディケーター候補を抽出,検討するツールの再検討:実際の診療で起きた計画と違った事象を自動抽出し,その解析を行えるように電子パスの機能改善を行う。このように実際の臨床の場で,それぞれの疾患についてクリティカルな働きをしている要因を洗い出し,検証していくことにより,診療プロセス上の問題点を明らかにすることが出来るものと考えられるが,これを効率的に行えるように手法・ツールを再検討する。その上で,個人差の大きい患者背景のデータからクリティカル・インディケーターを最適化するために関連する項目を抽出し,どのような症例においてどのようなことに注意を払えば,最大限の治療効果を上げることが可能かを検討する予定である。 2.バリアンス分析と医療の質改善対策の検討:診療計画の評価上最も重要なものは前述のごとくクリティカル・インディケーターであるが,このようなクリティカルなもの以外でも多くのバリアンスが生じるのが現実の医療である。標準アウトカムマスタ(BOM)を利用することにより,多施設で生じうるバリアンスを出来る限り自動的に集計・解析する手法の検証を行う。同時にUML図を用いてワークフローを可視化し,その改善点をわかりやすくする。このときに重要なのは単に奏効率等の単一の評価軸を用いて評価を行うのではなく,複数の評価軸を用いて多面的にその診療を評価し,改善点を見出していくことが重要と考えている。 3.ユーザーメイドによる機能改善の検討:現在のベンダー開発のツールでは,ユーザーにとって使い易いユーザーインターフェイスや機能の実現は難しいため,多施設への導入が困難となる可能性がある。ユーザーメイドによるユーザーのニーズに即したものを開発することにより,より多施設での標準的な手法になるように機能開発を工夫する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前記のような理由から予定していた計画に一部遅れが生じたため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度早期に計画を実行し使用する。
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