• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

CBC検査の白血球粒度分布パターンを用いた感染制御支援システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 26460865
研究機関高知大学

研究代表者

片岡 浩巳  高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 助教 (80398049)

研究分担者 奥原 義保  高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (40233473)
杉浦 哲朗  高知大学, 臨床医学部門, 教授 (50171145)
久原 太助  高知大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (80457407)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードMRSA / 抗生剤 / 迅速効果判定 / CBC / スキャッタグラム
研究実績の概要

MRSAに感染し、その直後に抗生剤治療を行った症例に対して、選択薬剤種別ごとにパターンの変化を評価した。抗生剤は、薬剤選択成功群として、抗MRSA薬であるLZD、VCM、TEIC、ABK、DAP、そして、薬剤選択失敗群として、MEPM、SBT/ABPCについて、時系列差分パターンの比較を行った。
血球計数検査(Sysmex XE-2100)から得られた計測生データを用い、MRSAが14日以内で連続検出された最初の検出イベント日から、7日以内に抗生剤治療のクールが開始された事例を対象とし、抗生剤治療前と治療後12時間後、1日後、2日後、8日後の直前CBC検査の白血球粒度データを用いて、パターンの変化を解析した。菌検出イベントおよび、薬剤投薬開始イベントの検出は、昨年度開発した、動的クールイベント検出法のアルゴリズムを用いた。血球計数検査が投薬開始前後に測定され、VCMが選択された335例、LZDが選択された121例、TEICが選択された6例、そして、MEPM、159例、SBT/ABPCを選択された58例について、パターンの変化の差分比較とROC分析を行った。
各抗生剤投与12時間後に、VCM、LZDは共通して、好中球領域の上方の幼若顆粒球から好中球領域(DIFFチャンネルSCC=144、SFL=168付近)に細胞数の増加が認められた。TEICは、単球の増加傾向が認められた。一方、MEPMおよびSBT/ABPCでは、上記領域の細胞数増加は認められない結果が得られた。仮に、VCM選択を成功群、SBT/ABPCを選択したグループを失敗群と仮定してROC解析をしたところ、この領域のAUCは0.71となった。
MRSAの抗生剤治療において、投薬開始後12時間の評価として、白血球粒度パターンの変化をモニタリングすることで、抗生剤の迅速効果判定ができる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

MRSA感染直後の抗生剤治療における、治療効果の判定法として、少なくとも投薬後12時間後のCBCの差分パターン変化を見ることにより、診断可能であることが示唆された。
この成果は、国際検査血液学会、および、医療情報学会連合大会発表を行った。
・H. Kataoka, Y. Ochi, Y. Hatakeyama, Y. Okuhara, T. Hisahara, Y. Matsumura, T. Sugiura: Rapid evaluation of post-antibiotic effects by leukocytes differential scattergram,ISLH2015, Chicago, 2015.
・片岡浩巳,畠山豊,奥原義保,久原太助,松村敬久,杉浦哲朗: MRSA感染症における白血球粒度パターンを用いた抗生剤迅速効果判定法, 第35回医療情報学連合大会, 沖縄, 2015.
なお、第35回医療情報学連合大会での発表では、優秀演題賞を受賞することとなった。

今後の研究の推進方策

本研究で得られた成果の外的妥当性の評価を行う目的で、他病院でもデータ収集を開始し、解析を行う準備を進める。また、できるだけ早期に一般病院への展開する目的で、一般の検査機器でも利用可能なデータである幼若顆粒球数の時系列変動に注目し調査を実施する。また、幼若顆粒球数の分類に関しても、細分類が必要であるかを詳細に検討を実施する。また、スキャッタ座標の精度の問題がある可能性も考慮に入れ、その対策を考える。
MRSA以外の他の細菌について、たとえば、耐性緑膿菌、ESBLなどについては、症例数が集まり次第解析を実施する。

次年度使用額が生じた理由

外的妥当性評価を目的とした他病院でのデータ収集を開始するため、外部記憶装置等の増設が新たに必要となるため。また、計算速度向上のため、プロセッサの増設を計画したため。

次年度使用額の使用計画

高速半導体ディスクおよび、並列数値計算プロセッサの購入に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] MRSA感染症における白血球粒度パターンを用いた抗生剤迅速効果判定法2015

    • 著者名/発表者名
      片岡浩巳,畠山 豊,奥原 義保,久原 太助,松村 敬久,杉浦 哲朗
    • 雑誌名

      医療情報学

      巻: 35 ページ: 680-683

    • 査読あり
  • [学会発表] MRSA感染症における白血球粒度パターンを用いた抗生剤迅速効果判定法2015

    • 著者名/発表者名
      片岡浩巳,畠山 豊,奥原 義保,久原 太助,松村 敬久,杉浦 哲朗
    • 学会等名
      第35回医療情報学連合大会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター(沖縄県)
    • 年月日
      2015-11-01 – 2015-11-04
  • [学会発表] Rapid evaluation of post-antibiotic effects by leukocytes differential scattergram2015

    • 著者名/発表者名
      H. Kataoka, Y. Ochi, Y. Hatakeyama, Y. Okuhara, T. Hisahara, Y. Matsumura, T. Sugiura
    • 学会等名
      ISLH2015
    • 発表場所
      Chicago, USA
    • 年月日
      2015-05-19 – 2015-05-21
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi