研究課題/領域番号 |
26460870
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研究機関 | 北海道薬科大学 |
研究代表者 |
古田 精一 北海道薬科大学, 薬学部, 教授 (50438909)
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研究分担者 |
櫻井 秀彦 北海道薬科大学, 薬学部, 教授 (70326560)
恩田 光子 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (60301842)
柳本 ひとみ 北海道薬科大学, 薬学部, 講師 (80200541)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アドヒアランス / 尺度 / 影響要因 |
研究実績の概要 |
今年度は、まず、初年度の予備調査(インタビューならびにインターネット調査)データを精査し、学術発表ならびに論文化を行った。ここから、同じ慢性疾患であっても、疾患特性によるアドヒアランスへの各要因からの影響構造に違いがあることが示された。糖尿病治療薬服用患者は他者依存的で医療者との関係性がアドヒアランスに影響し、降圧薬服用患者は自己ならびに他者、その他(提供組織)などが概ね同程度のバランスで影響していた。 次に、影響要因としては、2次データを用いた再分析と論文化をおこった。結果、先行研究で示された、患者にとってのリスク理解や拒否感はほとんど影響を示さず、負担感がきわめて強い影響を示すことが示された。これは過去の先行研究が、相関分析で議論したり、影響要因を限定して調査を行っていたことが根拠の一つと考えられた。 更にアドヒアランスの阻害要因に関する調査も行い、患者属性および生活習慣、服薬状況等の各因子と服薬実態については、年齢、職業、食事、定期的な受診、不快な経験において服用実態の分布の割合に有意差がみられた。また、複数のアドヒアランス不良となる因子を持つ患者において、年齢と職業は大きく影響することが示された。因子分析で時間・量的因子、薬剤的因子および規則的因子の3つの服薬阻害要因が抽出され、共分散構造分析では時間・量的因子が服薬ストレスへ与える影響が最も大きく、規則的因子による影響は有意とならなかった。さらに、患者属性によってはこれらの因子の影響度に違いがみられた。 以上から、実査において、患者属性について質問紙の紙幅の可能な限り確認することにした。 上記の結果については、査読付論文として公表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の調査結果、更にはそこから浮かんだ仮説を検証するために2次データを用いた分析結果も査読付論文として公表することができた。これは当初の計画以上の成果を収めたと認識している。 また、実査に関しては、上記影響要因を厳選する作業に時間を要したこと、ならびに調査協力先の都合により、調査着手が遅れ、実査自体は完了したものの、分析がやや遅れている。しかし、上述した通り複数の知見が得られて公表も進んでいることから、大きな問題とは認識していない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実査データの解析を行い、学術発表、ならびに論文化を進める予定である。必要に応じ、追加調査も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査開始の遅れにより、回収費用とデータ入力費用の発生が次年度にずれ込んだもの。時期のずれによるものであり、大きな変更はない。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のとおりであり、相当量の費用支出が今年度に必要となる。
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