研究課題/領域番号 |
26460878
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
湯浅 勲 鳥取大学, 医学部, 准教授 (00093633)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中国人 / 日本人 / 特異遺伝子 / 個人識別 / PCR / DNA解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新しい個人識別法として、比較的少数のDNAマーカーを用いて、生物学的資料が中国人であること、中国人由来であることを推定証明する方法を確立することである。この目的を達成するためには、マーカーの出現が中国人に限られていること、すなわち、中国人特異的アレルが重要である。ハップマップデータベースと1000ゲノムデータベースから中国人特異的と思われるSNPを約500座位検索抽出した。これらのSNPの分布を再調査するために、頻度の高い約250座位のSNPについて、比較的安価なAPLP 法に基づいた増幅プライマーの作成を検討した。約5分の1の座位では塩基配列がGCに富むなどの特殊性のためにプライマーが設定できず、また、一部でPCR増幅やアレル特異性の悪いものがあった。残りについては鳥取と沖縄の日本人、ソウルの韓国人、ウランバートルのモンゴル人、中国無錫と長沙の漢民族、ネパールのチベット人、ミュンヘンのドイツ人、ナイジェリア・ガーナのアフリカ人計875名を用いて調査した。多くのSNPで、中国人のみならず、日本人でも検出された。少数ながら、中国人に観察され、日本人に観察されないSNPがみつかった。しかしながら、これらのSNPは中国の漢民族の2集団のみならず、日本人以外の他の集団のいくつかでも観察され、中国人特異的というより大陸特異的であった。このことは、漢民族で頻度が高いアレルは周辺集団に拡散しており、縄文人由来と考えられる日本人特異的アレルとは異なっていた。さらにスクリーニングを継続するとともに、これらのアレルを用いた簡便なマルチプレックスPCR法を確立するために、SNaPshotを用いた一塩基伸長法による方法の開発に着手する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的の中国人特異的アレルをまず、データベースから検索し、実際に中国人特異的なのかどうかを9集団のDNA を用いて、スクリーニングをおこなってきた。このようなアレルが期待した以上に、日本人でも観察されたが、いくつかのSNPで中国人特異的アレルがみつかり、集団間の識別が可能となりうると思われた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに、250座のSNPを調べてきて、いくつかの中国人特異的アレルが見つかったが、スクリーニングを継続するとともに、SNaPshotを用いた一塩基伸長法によるマルチプレックス化を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の150万円と前年度の残額(1万円以下)は、予定通り、物品の購入、機器の使用などに使用し、残金は2万円以下であった。この残金は試薬などの物品費の購入としても不十分なので、次年度の予算と合わせて有効に利用する。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算にくわえて、有効に使用する。
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