研究課題
法医学的個人識別において、目撃情報がない時やデータベースと一致しない時などは、問題の資料の民族的な出自や帰属集団を明らかにする必要がある。本研究は、中国人特異的なアレルを検索し、見出されたアレルを用いて、積極的に中国人の証明を行おうとするものである。まず、Choudhuryらの報告に基づいて、PCR増幅プライマーを設定し、日本人、沖縄人、韓国人、モンゴル人、漢中国人(無錫と長沙)、チベット人、ドイツ人ならびにアフリカ人の9集団計875名について、前年度同様、調査した。前年度までに251例の検索し、その一部の詳細な調査を継続するとともに、新規に31座の追加調査をした。Choudhuryらは、CHBとCHS(北京と南中国の漢人)における合計頻度が0.101以上のものを862座抽出しているが、これらのうち、アメリカの4集団で観察されたものを除くと627座である。31座を含めると282座となり、45%ほど検討した。今回、31座のうち、プライマーの設定もしくは鮮明な増幅が不可能だった9座を除いて実施したところ、多型性が認められなかったのが2例で、日本人で検出されたのが19座あり、日本人で観察されなかったのは1座のみであった。282座全体では17座の変異アレルが日本人で観察されなかった。中国人だけに検出される変異アレルはきわめて低頻度を示した1座のみで、大陸の集団では、中国人以外にも観察され、突然変異が生じてから、日本には到達しなかったものの、大陸内では広く拡散していた。中国人特異的と考えられたアレルの一部は同じ染色体上にあり、連鎖も認められたので、これらのSNPのみで大陸の集団由来を証明するには十分ではないため、先に報告したJapanesePlex法と組み合わせるために、一塩基伸長法を検討した。
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巻: 39 ページ: 67-71
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