研究課題/領域番号 |
26460880
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奈女良 昭 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (30284186)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 法医中毒学 / 分析化学 / 薬物 / 抽出 / 前処理 |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者らが薬物抽出素材として新たに開発したモノリスシリカ(Monolithic Silica)を活用し、法医鑑定試料(特に血液)からの迅速かつ高精度で再現性のある薬物抽出を可能とする専用カラムを開発する。さらに生体への関与を判断する上で不可欠となる血液試料中薬物および代謝物濃度の系統的一斉抽出法の確立を目的とする。本年度は、昨年度の結果をもとに、オクタデシル基(C18)やイオン交換基(SAX,SCX)での塩基性薬物(覚せい剤、モルヒネ系麻薬、カチノン系薬物、β-拮抗薬など)、酸性・中性薬物(バルビツール酸類など)の吸着特性や選択性向上を検討した。 その結果、塩基性薬物はアルカリ性下において、酸性薬物は酸性下においてC18で吸着可能であった。吸着(抽出)率は80%以上であり、急性中毒が疑われる血中濃度範囲において直線性が確認でき、再現性(定量性)にも優れていた。しかし中性薬物において、アルカリ性および酸性下においては、その抽出率は各々の薬物の油水分配係数の影響を受けていることが示唆され、油水分配係数の小さい薬物の抽出率は低くなった。次に、血液中からの系統的一斉抽出を目的に複数の官能基を塗布したC18-SCXおよびC18-SAXで検討したが、C18-SAXでの通液性の悪さから、C18-SCXを用いることとした。さらに、モノリスシリカの最適な通過孔についても再検討したが、通過孔が大きさに比例して血液の通液性が良くなったものの薬物の回収率は低く抑えられた。また、モノリスシリカ表面積および表面のC18やSCX塗布量についても検討した。薬物の回収率は表面積の増加とともに増加したが、C18やSCX含量が増えるに従い薬物の回収率は低下した。C18-SCXを用いて構築できた系統的一斉抽出条件を使用し、各種薬物の良好な定量性、再現性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載したとおり、課題は順調に進捗している。 次年度は、最終年度にあたるため、既存の方法との比較検討や実試料分析を展開し、新規産業分野の一角に入れるようなデータを蓄積する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、最終年度にあたるため、既存の方法と操作性、検出感度、再現性データの比較検討を行い、実用的な検査法をなるように問題点を改善する。さらに、実試料分析を展開し、新規産業分野の一角に入れるようなデータを蓄積する予定である。
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