研究課題/領域番号 |
26460890
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
丸山 澄 日本大学, 歯学部, 助教 (30366190)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 個人識別 / mtDNA / 常染色体STR多型 / Y-STR多型 |
研究実績の概要 |
法医学領域では非常に微量な試料からのDNA型検査が求められる。そこで顕微鏡下にて細胞を採取し、微量な試料からの個人識別法の確立を目的とした。採取した細胞からWGA法でDNAを増幅し、ミトコンドリアDNA(mtDNA)多型、常染色体およびY染色体のSTR多型解析を行った。 1. 顕微鏡下における浮遊細胞のトランスファー技術は取得したと思われる。 2. トランスファー細胞からのDNAによる個人識別が確実に行える数を確認するために、当初計画より多めの15、20、30個の細胞について検査を行った。採取した細胞をREPLI-g Single Cell Kitを用いてWGA法を行った後、各DNA 型の判定を行った。また、WGA法後の試料をQIAquick PCR Purification Kit (QIAGEN)で精製し、精製前後の結果について比較検討した。 mtDNA型のsequence像は精製前に比べて不純物が除去され、よりシャープなエレクトロフェログラムを示し、いずれの細胞数でも良好な結果が得られた。常染色体STR型については精製DNAを用いたところ、細胞数30個の場合でも全てのalleleを検出することは困難であったが、精製前より余計なピークは減少し、さらに判定可能であったallele数は増加した。Y染色体STR型では細胞数15個で全てのalleleが検出された試料もあり、判定可能なalleleが増加した。また、精製によってDNA量が減少し判定に影響が出るのではと懸念されたが、収量の低下とDNA型判定との間には影響がなく、良好な結果が得られることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では10個以下の細胞数で研究を始めたが、確実に識別が行える細胞数の確認を行うため、30、20、15個の細胞数について追加実験を行った。また、より精度の高い解析結果を出すために、実験方法に試料の精製を加えた。これらのことから現在までの進捗状況はやや遅れている。 27年度の遅れは、精製作業を加えたことで研究の目的としている微量な試料からのDNA検査がより正確に行えるようになっているため、必要な工程であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に引き続き、トランスファー細胞からDNA増幅を行い、DNAの型判定を試みる。 実験過程にDNAの精製を追加したため、すでに検査を終えていた試料についても精製過程の追加実験を行う予定である。 最終年度に入るため、これまでの研究データをまとめると共に、研究成果の学会での発表および論文として仕上げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
DNAの精製用に新たにキットを購入したが、当初から購入予定であった他のキットおよび試薬はキャンペーンなどを利用し、当初の金額より低く抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度から引き続きDNA多型検査を行う為、検査に必要な試薬およびキットなどの購入に使用する。 本研究において、細胞の採取からDNAの増幅キットおよびDNA型検査などの試薬類に経費がかかるため、引き続きそれらの購入にあてる予定である。次年度への繰り越しとなった37.553円についても同様に使用する。また、最終年度のため、再実験が必要な場合の試薬およびキット購入の他、学会における研究発表、論文作成のための校正および投稿にあてる予定である。
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