この研究では、法医剖検例における自殺群の下垂体疾患について病理組織学的に解析することにより、自殺と下垂体疾患との関連を検討した。 自殺群73例と非自殺群224例の下垂体をHE染色及び下垂体前葉ホルモンに対する抗体を用いた免疫組織学的染色を行った。その結果、下垂体疾患が認められたのは自殺群では59%、非自殺群では32%であり、自殺群で大きな割合を占めることが明らかとなった。自殺群において、腺腫が最も多く、以下ラトケ嚢胞等の膿疱性疾患、腺腫以外の腫瘍などが認められた。以上のことから、下垂体の形態学的変化が自殺のリスクファクターとして注目すべきであると考える。
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