研究課題/領域番号 |
26460893
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
守屋 文夫 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (40182274)
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研究分担者 |
宮石 智 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90239343)
吉留 敬 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40304307)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 法中毒学 / 薬物分析 / 塩基性薬物 / 胃内排泄 / 静脈内投与 / 動物実験モデル / ガスクロマトグラフィー / ガスクロマトグラフ-質量分析法 |
研究実績の概要 |
本年度取り扱った法医解剖173例を対象に、血液、胃内容および尿の薬物分析を実施した。その結果、覚せい剤メタンフェタミンが検出された2例が本研究の対象となり得ることが判明した。いずれもメタンフェタミンの胃内容濃度が血中濃度より高く、これまでの知見が裏付けられた。 本年度は、メタンフェタミンの胃内排泄動態解析のための動物実験モデルの構築も試みた。ラットにメタンフェタミン10 mg/kgを経口投与または皮下投与し、その直後、3時間後、6時間後および12時間後に心臓血および胃内容を採取し、メタンフェタミン濃度を測定した。また、ラットにメタンフェタミンを皮下投与する15時間前および3時間前にそれぞれ胃酸分泌抑制薬のオメプラゾール1 mg/kgおよびファモチジン1 mg/kgを皮下投与し、メタンフェタミン投与の直後、3時間後、6時間後および12時間後に心臓血および胃内容を採取し、メタンフェタミン濃度を測定した。その結果、胃酸分泌抑制薬を前投与していないラットでは、メタンフェタミンの胃内容/血液比は、皮下投与時には6時間以内に28~32の最高値を示し、その後低下する傾向が認められた。一方、経口投与時には同比は急速に低下していくものの、投与の12時間後であっても400-800を示した。メタンフェタミンの胃内容/血液比を利用した経口投与と非経口投与の識別は、比較的長時間にわたり可能であることが示唆された。また、ラットに胃酸分泌抑制薬を前投与後にメタンフェタミンを皮下投与しても、胃酸分泌抑制薬を前投与していない場合と同様の胃内容pHおよびメタンフェタミンの胃内容/血液比を示し、胃酸分泌抑制薬はメタンフェタミンの血液から胃内への移行動態に影響を及ぼさない可能性が考えられた。本動物実験モデルは、メタンフェタミンのみならず塩基性の性質を有する薬物の血液から胃内への移行メカニズムの解明に有用と思われた。
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