研究課題/領域番号 |
26460894
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
神田 芳郎 久留米大学, 医学部, 教授 (90231307)
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研究分担者 |
副島 美貴子 久留米大学, 医学部, 講師 (80279140)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ハプトグロビン / 個人差 / 遺伝子多型 / 関連解析 |
研究実績の概要 |
血清ハプトグロビン(HP)は、遊離ヘモグロビンに結合しヘモグロビンの喪失とその毒性を中和する機能を担っている。血中HP濃度はさまざまな病態で変動するが、その一方で病態とは関係しない個人差が知られている。平成26年度は、このHPの血中濃度の個人差に関与する遺伝子多型を同定することを目的とし、これまで対象として扱ってきた日本人に加え、ヨーロッパ人の遺伝的影響を受けていると考えられるモンゴル人サンプルについて関連解析をおこない、現在までにHP濃度との関連を示した2つのSNPsのうち、プロモーター多型であるrs5472そのものあるいは連鎖する多型がHP濃度の個人差に重要であるという結果を得た(論文作成中)。この結果を受け、データベースを利用し、プロモーター多型rs5472と連鎖が予想されるSNPsが複数存在する領域(HP遺伝子の上流約7 kbとイントロン1約2 kb)についてシークエンス解析をおこなった。その結果、日本人集団では予想通り強い連鎖を認めた。現在責任変異を同定するために、この領域について様々な集団サンプルをターゲットとした解析を進めている。さらに、人類遺伝学的な視点で、HP濃度の個人差に有意な関連を有する遺伝子欠失アレルHPdelの地理的な分布と起源を調査することを目的に、東アジア・東南アジアのインドシナ半島東部に位置するベトナム人集団での頻度を調べた。その結果、このアリルが東アジアと東南アジアに限局して存在するというこれまでの知見を支持する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した今年度の到達目標はほぼ達成できているので、この点については、区分(2)として良いものと考える。一方で、モンゴル人集団の解析では、遺伝子頻度の問題で、遺伝子型の比較が十分におこなえるほどのサンプル数ではなかった。
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今後の研究の推進方策 |
さまざまな人集団サンプルのうち、HPの血清濃度を調べられる集団について、濃度と遺伝子多型の関連解析を行い、候補遺伝子多型を同定し、それらの機能をモニターできる方法を確立し、責任遺伝子の同定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していた、PCR用試薬と、委託解析によるシークエンス解析費用が、いずれの安価なもので実施できたので。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度解析領域を広げ、対象検体の数を増やして解析を行うために使用する。
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