研究課題/領域番号 |
26460897
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高山 真 東北大学, 大学病院, 准教授 (80579954)
|
研究分担者 |
中澤 徹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30361075)
劉 孟林 東北大学, 大学病院, 医員 (70436153)
檜森 紀子 東北大学, 大学病院, 助教 (20705230)
門馬 靖武 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80571538)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 緑内障 / 漢方 / 血流 / 眼底 / 当帰芍薬散 |
研究実績の概要 |
研究の目的:緑内障は日本における中途失明原因第1 位の眼疾患であり、約400 万人の患者がいるとされている。今日の緑内障に対する標準治療である眼圧下降を行っても病状が進行する場合も多く、新たな治療戦略の模索は急務である。眼圧非依存性因子として眼血流障害が緑内障の病態に関与することが多数報告されており、眼血流改善は新たな治療戦略となりうる。一方、漢方薬当帰芍薬散や桂枝茯苓丸は局所微小血流循環を改善する効果を有することが近年解明されてきた。この研究では、健常人および正常眼圧緑内障患者を対象に、漢方薬投与時の眼底血流をレーザースペックルフローグラフィ(LSFG)にて測定し、その有用性を検討することを目的とする。 研究実績計画:平成27年度は、①健常人を対象に漢方薬当帰芍薬散を単回投与した際の眼底血流促進効果をLSFG検査等により評価しその効果を検討する研究の実施、②正常眼圧緑内障患者を対象に通常の眼科的治療に漢方薬を追加内服した際の効果を検討する研究の準備と研究の開始を行う計画であった。 研究成果:①健常人に当帰芍薬散5gを単回投与することにより眼圧や血圧に影響を与えずに、内服前と比較して30分後、60分後に有意に眼底血流が増加する結果が得られた(内服前:100%,30分後:104.1±5.3%, 60分後:104.0±5.5%, 各P<0.01)。この結果を第112回日本内科学会講演会、International Congress of Medical Acupuncture and Related Techniques 2015などで研究発表した。②計画通り東北大学病院倫理委員会へ倫理申請を行い、承認を得てUMINに臨床研究登録を行い、漢方薬の購入と対象者の募集、研究の説明と文書による同意の取得、介入と検査の実施まで行い、平成27年度中に2名の患者が本研究に参加した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①健常人を対象に漢方薬当帰芍薬散、桂枝茯苓丸を単回投与した際の眼底血流促進効果をLSFG検査等により評価しその効果を検討する臨床研究では、2剤の比較は平成26年度に、当帰芍薬散と白湯(コントロール)の比較は平成27年度に終了し、平成27年度に学会発表まで行うことができたことから、発表予定とした平成28年度よりも早く進展している。また、②正常眼圧緑内障患者を対象に通常の眼科的治療に漢方薬を追加内服した際の効果を検討する臨床研究については、おおむね研究計画の予定通り進行中である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、②正常眼圧緑内障患者を対象に通常の眼科的治療に漢方薬を追加内服した際の効果を検討する臨床研究がはじまっており、予定とする患者数に達するまで患者募集、漢方薬の投与、検査を継続する。予定患者数に達した段階で、データ解析と検討を行い、まとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
正常眼圧緑内障患者を対象に通常の眼科的治療に漢方薬を追加内服した際の効果を検討する研究では、漢方薬の長期投与のための薬剤購入や頻回の採血検査のための費用および謝礼金が生じるために、これらについての費用計上を行っていた。平成27年度は研究参加者が2名であったことから、進捗状況に合わせて薬剤の購入を行い、採血検査の費用負担、謝礼金の支払いを行った。参加者としては多数の患者がいたものの、臨床研究プロトコルの除外基準によりその多くが参加ができなかったため、予定よりも少ない被験者数となった。このため、次年度に継続して被験者を増やすことを予定し、これに薬剤購入費用と検査費用、謝礼金に費用を使用することとしたため、次年度使用額が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
眼科と漢方内科の共同で正常眼圧緑内障患者を対象に通常の眼科的治療に漢方薬を追加内服した際の効果を検討する研究の被験者を広く募集する。被験者の増加に伴い次年度使用として繰り越した費用を、薬剤の購入、採血検査の費用負担、謝礼金の支払いなどに用いる。また、研究結果が得られた場合には学会発表および論文作成費用、投稿費用に使用する予定である。
|
備考 |
東北大学病院 漢方内科 フェイスブック内で研究成果を随時報告している。本研究成果も学会発表、論文公表などについて掲載を行っている。
|