研究課題/領域番号 |
26460898
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鹿野 理子 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20344658)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 機能性疼痛 / 機能性消化管障害 / 内臓痛 / 脳機能 / 心身症 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
機能性疼痛障害にに共通する中枢神経異常のメカニズム解明を目的とし、3つの疾患、機能性ディスペプシア、外陰部痛、過敏性腸症候群、およびポジティブコントルールとして、炎症性腸疾患を対象として、それぞれ、ベルギールーベン大学、神経消化器科、産婦人科、日本の申請者、フランスグレノブルの神経科学センターでの国際共同研究として、同一のプロトコールにてニューロイメージング研究を進めている。共通のプロトコールとして、共通の質問紙を用いた、心理社会的評価、fMRI(機能性磁気共鳴装置)を用いた、疼痛知覚、疼痛下降制御系、疼痛予期(確実、不確実)、に伴う脳活動の計測、脳の構造画像、拡張テンソル画像、静止時の脳画像を撮像している。機能性画像に関しては、機能性ディスペプシアに対してはバロスタットバッグを用いた胃拡張刺激、外陰部痛に対しては、外陰部の圧刺激、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患に対してはバロスタットバッグを用いて直腸の圧刺激を行っている。 26年度までに各施設で実験系のセットアップを行い、各施設間でプロトコールのすり合わせをして、27年度から本格的に対象者の撮像を開始した。予定人数の対照コントロール群に関しては、各施設でおおむね終了した。申請者の東北大学では、疾患群の過敏性腸症候群と診断される被験者数名のfMRIおよび構造画像の撮像を終了した。フランスグレノブルでも炎症性腸疾患であるクローン病患者数名の撮像を終了した。ベルギー婦人科では、外陰部痛患者の予定人数をほぼ終了したが、神経消化器科では、機能性ディスペプシア患者のリクルートを開始したところである。 各施設間での同一プロトコールによる、脳画像データおよび心理社会的要因の解析方法として、近年脳画像解析法の領域で導入されてきた、機械学習による解析方法を採用することとし、アメリカコロラド大学ボルダー校の心理神経科学教室と共同研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象予定人数の検査をおおむね順調に終了し、対照コントロール群に関しては、各研究室内で解析するとともに、施設間の検討も行っている。それぞれに、国際学会等での発表を行い、対照コントロール群を対象にした論文発表も行っている。施設間で得られたデータを共通の基盤で解析する方法として、機械学習のアルゴリズムに基づく比較検討ができる体制を確立できたことはアドバンテージである。
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今後の研究の推進方策 |
各施設内で、予定人数の検査を終了し、各施設内で対照群と疾患群での比較解析、および施設間、つまり疼痛を誘発する部位、胃、外陰部、大腸により形成される脳内での疼痛関連活動の共通機能、異なる機能、さらに疾患群での共通項、差異を明らかにしていく。その際には機械学習を用いたアルゴリズムに基づいた、脳活動のパターン解析を用いて、より直接的な比較検討を行う。さらに、既報の体性痛、および食道刺激による内臓痛との比較を、今回のデータセットを用いて行う。静止時の脳のネットワーク解析、および拡張テンソル画像、構造画像についても、各施設内での疾患群の検討および施設間での比較検討を行う。領域間の関連についてはグラフセオリーを用いる。また、過敏性腸症候群をはじめとする、疾患と対照群の脳活動を見分けるクラシファーを作成している既報の分析方法をあてはめ、脳活動から疾患を診断する可能性を追求する。 比較検討、分析が終了次第、国内国際学会で発表し、論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度に予定していた、論文の英文校正費、および論文投稿費が、予定よりも少なかったこと、および、物品費についても予定よりも少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に投稿予定の論文を28年度に投稿することになるため、英文校正費、論文投稿費として使用予定である。
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