研究課題
咳衝動(Urge-to-cough)は、従来の咳調節機構に加え、大脳皮質の関与を示唆した概念である。これまで、我々は、高齢者は若年者と比較し、咳衝動が低下していること、また、誤嚥性肺炎発症高齢者の咳衝動が、非発症者と比較して低下していることを報告してきた(Cough)。また、これまで、パーキンソン病における、咳感受性の低下と咳ピークフローの低下が報告されている(Ebihara et al. Chest 2006)。別報告では、パーキンソン病患者の高炭酸ガス応答、低酸素ガス応答が低下している。しかしながら、αシヌクレオパチーであるレビー小体型認知症の咳嗽について調査した研究報告はない。そこで、今回、レビー小体型認知症の咳感受性テストおよび咳衝動について調査報告した。認知症罹患入院高齢者アルツハイマー型認知症高齢者(AD)、レビー小体型認知症高齢者(DLB)健常高齢者の3群)に、クエン酸による咳感受性テスト(0.7~360 mg/ml)を行い、2回以上咳が出たときの濃度(C2)および5回以上咳が出たときの濃度(C5)とした。咳衝動(Urge to Cough)が認められたときのクエン酸濃度と咳衝動の強さを修正UTCボルグスケールで評価した。結果だが、C2、C5において、DLBとコントロール群の間、DLBとAD間、DLBとコントロール群の間に有意差が認められた(P<0.01)。また、AD, DLB、コントロール群のなかで、DLBの咳衝動閾値は、コントロール群と比較して有意に高かった(P=0.02)。咳衝動スロープは、DLB群が最も小さい傾向が認められた。以上から、DLB罹患高齢者は、ADあるいは健常高齢者と比較して、咳反射感受性が低下しており、咳衝動閾値が高くなっていると考えられた。
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