①観察研究:老老介護家族における患者・介護者ストレス(30組):介護者ストレスの評価と投薬、心理士による患者・介護者の面談介入を行った。研究開始時、介護者中心に介入を検討していたが、初期から中期の認知症者においては、介護者だけでなく、認知症者当事者の心理的な不安やストレスと介護者のストレスがかかわっている可能性が示唆され、当初50組を予定していたが、30組として認知症者への心理的な評価と介入も行った。
②入院患者における夜間せん妄の原因とケア介入の効果:せん妄のリスクとなることが当科の看護研究で判明しているADL低下、認知症、絶食、尿道カテーテルの有無と、せん妄はDST(Delirium Screening Tool ; DST)を用いて評価することを目的としていた。平成27年5月当院に入院した認知症者が適切な医療を安全に受けられるようにアドバイスを行う「高齢者ケアサポートチーム」を立ち上げ、認知症認定看護師と2人で週1回院内回診を行った。平成27年度151件、平成28年度191件(のべ)相談を受けた。周術期、緊急入院など6割が外科からの相談であった。抑制帯をできるだけ使用しないケアの指導や投薬指導でせん妄の予防を行ってきた。現在「高齢者ケアサポートチーム」介入前後の自己抜針やせん妄発生の件数の変化などを解析中である。
③介護者ストレスと食事の支度:1年目の調査で、介護者が1日3回の食事の支度に負担を感じていることがうかがえた。そのため、認知症者と介護者の食事調査を追加した。お菓子摂取量が多く、朝昼食に菓子パンを食べているケースが多かった。食事の支度に負担を感じ、また、簡単に食べられる菓子パンで食事を済ませることで、栄養に偏りが見られた。それぞれの家庭で可能なバランスの良い食習慣の指導を行った。
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