ストレス反応の1つ、交感神経―副腎髄質(SA)系の過剰・異常賦活は高血圧発症に関与する。我々は既に薬物誘発性の本系賦活に対する脳内エンドカンナビノイド(eCB、所謂脳内大麻)の抑制作用を報告した。本研究では、(1)脳内CB1受容体(eCBの作用標的)活性化は自然発症高血圧ラットの過剰なSA系賦活及び高血圧を改善するが、対照の正常血圧ラットの両因子には影響を与えない事、(2) CB1受容体と機能的相互作用をするオピオイド受容体(脳内麻薬の作用点)が脳内で薬物誘発性SA系賦活の修飾に関与する事、を明らかにした。以上から脳内大麻及び脳内麻薬が高血圧症に対する新たな治療標的となる可能性が示唆された。
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