研究課題/領域番号 |
26460911
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
細井 昌子 九州大学, 大学病院, 講師 (80380400)
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研究分担者 |
清原 裕 九州大学, 医学研究院, 教授 (80161602) [辞退]
柴田 舞欧 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (20734982)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 養育スタイル / 糖尿病 / 有病率 / 久山町 / 疫学研究 / 過干渉 / ケア |
研究実績の概要 |
糖尿病の予防には生活習慣の改善が重要だが,生活習慣に影響を及ぼす可能性が高い幼少期の両親の養育スタイルと成人後の糖尿病の関連を検討した研究は知るかぎりない.本研究では一般住民における幼少期の両親の養育スタイル、特にケアの欠如および過干渉と成人後の糖尿病の関連について検討した.<方法>福岡県久山町で健診を受けた一般住民 (2011年)715名(男性271名、女性444名)(40歳~93歳)を対象に、質問紙調査、問診、身体計測、血液検査(血糖値はグルコースオキシダーゼ法)を行った。養育因子については、16歳までに両親にどのように育てられたかを聞く質問紙[母親、父親 各25問]であるParental Bonding Instrument (PBI)質問紙で測定した。characteristicsの養育スタイル2群間比較の検定では,連続変数はt検定,2値変数はχ2検定、養育と糖尿病の有無の解析にはロジスティック回帰分析を用いた. <結果>本集団における糖尿病の割合は、14.8%であった。父親の過干渉と母親の低ケア・過干渉の養育スタイルが多変量調整後も糖尿病を有するリスクを有意に上昇させていた.また,両親の養育スタイルがともに高ケア・低過干渉(最適な養育)の場合に比べ,両親ともに低ケア・過干渉の養育スタイル(愛情のない支配)の場合,多変量調整後も糖尿病を有するオッズ比が有意に上昇していた. <結論>一般住民において、幼少期の不適切な被養育体験が成年後の糖尿病を有するリスクの上昇に関連していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
養育スタイルと糖尿病についての情報を収集することができ、これまで解析してきた慢性疼痛や睡眠障害と養育スタイルとの関連とともに有意義な成果を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度には、養育スタイルに関連することが推測される尿中オキシトシン値を測定するために久山町大健診で一般住民3000人程度の尿を採取する計画があり、養育スタイルがオキシトシン系を介して、糖尿病・睡眠障害・慢性疼痛などの慢性疾患に影響を及ぼすかどうかの情報を得る予定である。また、同様に久山町健診で希望者に自律神経機能検査を試行し、自律神経機能と尿中オキシトシンが相関するかどうかの検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
養育スタイルと慢性疾患に関する久山町研究を施行するにあたり、毎年施行する希望者健診よりも、2017年に施行される町民のほとんどが受診する大健診で研究を行うことがデータ収集上有益であるため、研究年度を1年延長して、研究を行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度6月から10月に行われる久山町大健診の際に尿を採取し、オキシトシンを測定するためのオキシトシンキットや関連器具の購入と、健診時に採取した尿の分注および沈査検査を行う人件費、および自律神経機能を行う人材への謝金、および学会発表、論文発表の費用として使用する予定である。
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