研究課題/領域番号 |
26460912
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
鬼頭 佳彦 佐賀大学, 医学部, 准教授 (60381787)
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研究分担者 |
寺本 憲功 佐賀大学, 医学部, 教授 (40294912) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 漢方薬 / 消化管運動 / 平滑筋 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、漢方薬および構成生薬が消化管運動機能に及ぼす影響について調べた。 ① 六君子湯の構成生薬のうち、茯苓、蒼朮および陳皮はマウスおよびラット胃底部輪走筋標本におけるアゴニスト収縮(カルバコールおよびスルプロストン)に対して抑制効果を示さなかった。 ② マウス胃幽門部輪走筋標本において、桂枝加芍薬湯および芍薬甘草湯(いずれも5 mg/ml)は膜を脱分極させ、スローウェーブの発生頻度、振幅および持続時間を抑制した。半夏瀉心湯(5 mg/ml)は膜を脱分極させるとともにスローウェーブを消失させた。 ③ マウス回腸輪走筋標本において、半夏瀉心湯、桂枝加芍薬湯および芍薬甘草湯(いずれも5 mg/ml)は膜を脱分極させ、スローウェーブの発生頻度、振幅および持続時間を抑制した。スローウェーブに対する抑制効果の強さは半夏瀉心湯>芍薬甘草湯>桂枝加芍薬湯の順であった。 ④ マウス遠位結腸輪走筋標本において、芍薬甘草湯(5 mg/ml)は膜を脱分極させ自発一過性過分極を抑制した。桂枝加芍薬湯(5 mg/ml)は膜を過分極させ、この作用はNO合成酵素阻害薬にて抑制された。半夏瀉心湯(5 mg/ml)は膜を過分極させ、この作用はNO合成酵素阻害薬抵抗性であり、テトロドトキシンにて抑制された。 ⑤ マウス空腸輪走筋標本において、フェニレフリンおよびアドレナリンは濃度依存的に(1~30μM)膜を過分極させ、スローウェーブの振幅および持続時間を抑制した。フェニレフリンの作用はプラゾシンおよびアパミンにより完全に抑制された。一方、アドレナリンによる過分極において一過性の早い過分極はプラゾシンおよびアパミンにより抑制され、持続性の過分極はプロプラノロールにて抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
六君子湯の構成生薬の作用の解析にはまだ時間を要するが、半夏瀉心湯、桂枝加芍薬湯および芍薬甘草湯が消化管組織標本の膜電位変化に及ぼす作用について比較解析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内誘導法にて本年度中に調べられなかった構成生薬について調べるとともに、漢方薬が消化管収縮弛緩機構に及ぼす作用と膜電位変化に及ぼす作用との相関関係を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行はおおむね順調であり、次年度使用額4786円が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費(物品費)として使用する。
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