長期的にアンジオテンシン受容体拮抗作用が骨格筋に与える影響を検討するために、若年(12週齢)と中年(12ヶ月齢)、老年(24ヶ月齢)のコントロールマウスとアンジオテンシンIIレセプター1ノックアウトマウス(AT1aR KO)の骨格筋について検討を行った。若年では両群間に筋力の差は無かったが、中年と老年ではコントロールマウスでは若年に比較して筋力が低下していた。一方で、AT1aR KOマウスでは、若年に比較して、筋力は保たれていた。次に、コントロールおよびAT1aR KOマウスにおいて、若年・中年・老年マウスの骨格筋(腓腹筋)重量を検討した。コントロールマウスにおいて、加齢により筋肉量は減少傾向を認めたものの、有意な差を認めなかった。またAT1aR KOマウスでも同様の結果であった。したがって、コントロールとAT1aR KOマウスでの加齢による筋力の減少を認めるものの、骨格筋における筋肉量減少の差を認めなかった。C57BL6マウスの加齢モデルによる、24ヶ月齢では筋肉量の減少が認められない可能性が示唆された。マウスの種類の違いによる影響や、C57BL6マウスでは24ヶ月齢ではサルコペニア研究に十分な年齢でない可能性があり、今後更に30週齢などに延長して実験を行うことやマウスの種類を変更、または他の種類の加齢モデルマウスを検討する必要があると考えられた。
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