研究課題
本研究は、これまでに申請者らが臨床開発を行ってきた「RetroNectin誘導低分化型T細胞リッチTリンパ球療法(以下RIT; RetroNectin-induced T cell Therapy)の効果増強を目的に、免疫チェックポイント阻害剤を利用して多様なCTL誘導を意図した新規RIT療法の開発を目指すもので、新たな治療概念を具現化する新規細胞療法開発のための基盤的研究である。本年度は、マウス大腸がん皮下移植モデルにおいて、免疫チェックポイント阻害剤の1つである抗CTLA-4抗体薬とリンパ球移入療法の併用効果の検討と抗PD-1抗体薬投与マウスより採取したリンパ球の腫瘍細胞に対する反応性(IFNγ産生能)をin vitroで評価を行った。①リンパ球療法と抗CTLA-4抗体薬との併用実験では、移入するリンパ球の分化度を低分化型(CD62Lhigh)と分化型(CD62Llow)に分けて移入し比較検討をおこなった。低分化型リンパ球と抗CTLA-4抗体薬との併用で最も強い抗腫瘍効果を認め、腫瘍浸潤リンパ球はTh1へ分化した細胞をより多く認めた。②抗PD-1抗体を投与した担癌マウスより採取したリンパ球と抗PD-1抗体非投与マウスより採取したリンパ球を,移植したマウス大腸がん細胞と共培養し、リンパ球の細胞内IFNγ産生をフローサイトメーターで評価したところ、抗PD-1抗体薬投与群で高頻度にIFNγ陽性細胞を確認した。①の結果については英文にて雑誌論文として投稿し掲載された。
2: おおむね順調に進展している
本年度に得られた知見から抗PD-1抗体投与後のマウス脾臓より採取したリンパ球に高い抗腫瘍活性があることは予測できるが、フローサイトメーターによるリンパ球のphenotypeの解析を行う必要があり、その検討は未だ終えていない。
免疫チェックポイント阻害剤投与後のリンパ球phenotypeの変化をフローサイトメーターを中心に解析をすすめる。また、免疫チェックポイント阻害剤とNK細胞との併用効果ついての検討も進めていく。
ほぼ予定通りの研究費使用をおこなったが、購入物品の価格が予定価格より若干安くなり124円の残額が生じた。
少額の残額で有り、次年度以降の使用計画に影響はなく、予定通り使用する。
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Oncol Rep.
巻: 33 ページ: 2545-52
doi: 10.3892/or.2015.3815