研究課題
本研究は、これまでに申請者らが臨床開発を行ってきた「RetroNectin誘導低分化型Tリンパ球療法(以下RIT; RetroNectin-induced T cell Therapy)」の効果増強を目的に、免疫チェックポイント阻害剤を利用して多様なCTL誘導を意図した新規RIT療法の開発を目指すもので、新たな治療概念の具現化する新規細胞療法開発のための基盤研究である。本年度は、抗CTLA-4抗体薬と低分化型Tリンパ球移入併用療法の有用性に関するマウス担癌モデルでの検討結果をまとめ論文発表した。その後、リンパ球移入療法と抗PD-1抗体薬との併用実験を進めており、現在実験を行っている担癌モデルにおける抗PD-1薬の至適投与量の検討および局所投与(腫瘍内局注)により必要な投薬量を減量できないかについての検討を重ねている。もし、全身投与に比べ治療効果が変わらなければ、局所投与により総投与量を大幅に減量することが可能となる。本剤は極めて高額であることからも、臨床応用につながればそのインパクトは大きいものと考えている。
2: おおむね順調に進展している
CTLA-4抗体薬とTリンパ球移入療法の併用療法に関しては、担がんマウスモデルにおける抗腫瘍効果および免疫モニタリング結果をすでに論文報告できたが(Oncol Rep. 2015 May;33(5):2545-52)、抗PD-1抗体薬との併用実験については再現性の確認を行っている段階である。
現在臨床現場で使用されている抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体薬と免疫細胞療法との効果的な併用療法の開発を目指し、①抗体薬の投与経路の検討、②抗CTLA-4抗体とNK細胞療法を用いたTreg除去の可能性、などについても検討を行っていく予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
Oncology Report
巻: May;33(5) ページ: 2545-52
doi: 10.3892/or.2015.3815
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巻: Dec 1;137(11) ページ: 2558-65.
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