研究課題
血液生化学検査データは,医療機関に毎日大量に蓄積されているが,医療の質の改善のために利活用されていない。本研究の目的は,臨床検査データで超極端値を示した患者の短期的予後とその背景因子が何かを明らかにすることである。そのために,後方視的に過去10年間の血液生化学検査81項目それぞれを横断的・縦断的かつ系統的に解析し,極端な異常値が患者の短期的な予後に関係しているのかどうか,また,その予後に影響した背景因子や交絡因子が何かを分析するとともに,「超極端値からみた診断予後推定アルゴリズム」を作成する。この研究結果から,プライマリーケアで極端な検査値異常に遭遇した場合に,診断の推定と短期的な予後の予測が可能となり,プライマリーケア領域の医療の質を改善することが期待できる。平成26年度は、次に示す[Step1]から[Step2]までを完了した。[Step 1] さいたま医療センターの臨床研究倫理審査委員会の承認を得て,過去10年間(平成16年から平成25年)の血液生化学検査データベースから,81の検査項目の検査データセットの連結可能匿名化データベースを作成した。[Step 2]ⅰ)連結可能匿名化データベースを平成16年から平成20年の5年間(A群)と平成21年から平成25年の5年間(B群)の2つに分割した。ⅱ)【超極端値を呈した症例群】の定義は,「各血液生化学検査項目の5年間の累積症例集団(重複症例を除く)を,数値順に並べたときの上位または下位の連続100症例」とした。【短期的予後】の定義は,「検査後3日以上の入院継続または検査後3日目までの死亡」とした。ⅲ)対象とした検査項目ごとに,A群とB群の【超極端値を呈した症例群】を抽出した。
2: おおむね順調に進展している
検査項目ごとに,A群とB群の【超極端値を呈した症例群】を連携研究者に配分し,次に示す[Step 3]から[Step 5]の解析を進めている。[Step 3]A群とB群の【超極端値を呈した症例群】の【短期的予後】とその予後に影響したと考えられる背景因子や交絡因子(年齢,性別,BMI,バイタルサイン,診断名,救急車による搬入の有無,前医療機関での治療の有無,基礎疾患のカテゴリー分類,内服薬の有無と種類,喫煙の有無,血清アルブミン値,血清クレアチニン値,検査後の治療内容)を電子カルテで調査。[Step 4] 目的変数は【超極端値を呈した症例群】の【短期的予後】,説明変数は,その予後に影響したと考えられる背景因子や交絡因子とし,次の解析を実施。【横断的解析】目的変数と説明変数の関連性を多重ロジスティック回帰分析する。【縦断的解析】A群とB群での目的変数と説明変数の分布差をカイ二乗分析で比較する。[Step 5](平成26から平成30年度) 各検査項目の研究結果のまとめと「超極端値からみた診断予後推定アルゴリズム」の作成を行い,学会で発表する。
検査項目ごとに,A群とB群の【超極端値を呈した症例群】を連携研究者に配分し,次に示す[Step 3]から[Step 5]の解析を進めていく予定である。[Step 3]A群とB群の【超極端値を呈した症例群】の【短期的予後】とその予後に影響したと考えられる背景因子や交絡因子(年齢,性別,BMI,バイタルサイン,診断名,救急車による搬入の有無,前医療機関での治療の有無,基礎疾患のカテゴリー分類,内服薬の有無と種類,喫煙の有無,血清アルブミン値,血清クレアチニン値,検査後の治療内容)を電子カルテで調査。[Step 4] 目的変数は【超極端値を呈した症例群】の【短期的予後】,説明変数は,その予後に影響したと考えられる背景因子や交絡因子とし,次の解析を実施。【横断的解析】目的変数と説明変数の関連性を多重ロジスティック回帰分析する。【縦断的解析】A群とB群での目的変数と説明変数の分布差をカイ二乗分析で比較する。[Step 5](平成26から平成30年度) 各検査項目の研究結果のまとめと「超極端値からみた診断予後推定アルゴリズム」の作成を行い,学会で発表する。
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