研究実績の概要 |
血液生化学検査データは,医療機関に毎日大量に蓄積されているが,医療の質の改善のために利活用されていない。本研究の目的は,各臨床検査データ項目で超極端値を示した患者の短期的予後とその背景因子が何かを明らかにすることである。そのために,後方視的に過去10年間の血液生化学検査項目を横断的・縦断的かつ系統的に解析し,極端な異常値が患者の短期的な予後に関係しているのかどうか,また,その予後に影響した背景因子や交絡因子が何かを分析するとともに,「超極端値からみた診断予後推定アルゴリズム」を作成する。 この研究結果から,プライマリーケアで極端な検査値異常に遭遇した場合に,診断の推定と短期的な予後の予測が可能となり,プライマリーケア領域の医療の質を改善することが期待できる。 Step 1:過去10年間の血液生化学検査データベースから,50項目の検査データセットの連結可能匿名化データベースを作成した。 Step 2:研究の対象期間を前半の5年間(A群)と後半の5年間(B群)の2つに分割。【超極端値を呈した症例群】の定義:「各血液生化学検査項目の5年間の累積症例集団(重複症例を除く)を,数値順に並べたときの上位または下位の連続100症例」。【短期的予後】の定義:「検査後3日以上の入院継続または検査後3日目までの死亡」。ⅲ)対象とした検査項目ごとに,A群とB群の【超極端値を呈した症例群】を抽出。 平成27年度と平成28年度で、次の検査項目のそれぞれ100症例の短期的予後、背景因子を診療録から調査した。WBC低値,好酸球高値,異型リンパ球高値,血沈高値,フェリチン高値,フェリチン低値,D-dimer高値,総タンパク高値,AST高値,LD高値,LD低値, CRP高値,血糖高値,血糖低値,sIL-2高値。 引き続き、統計解析を実施中である。
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