研究課題/領域番号 |
26460916
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
菅原 斉 自治医科大学, 医学部, 教授 (80285808)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 臨床検査データ / 外れ値 / 短期的予後 / 単回帰分析 / 重回帰分析 / 極端外れ値 / ロジスティック解析 / C統計量 |
研究実績の概要 |
血液生化学検査データは,医療機関に毎日大量に蓄積されているが,医療の質の改善のために利活用されていない。本研究の目的は,臨床検査データで超極端値を示した患者の短期的予後とその背景因子が何かを明らかにすることである。そのために,後方視的に過去10年間の血液生化学検査50項目それぞれを横断的・縦断的かつ系統的に解析し,極端な異常値が患者の短期的な予後に関係しているのかどうか,また,その予後に影響した背景因子や交絡因子が何かを分析するとともに,「超極端値からみた診断予後推定アルゴリズム」を作成する。この研究結果から,プライマリーケアで極端な検査値異常に遭遇した場合に,診断の推定と短期的な予後の予測が可能となり,プライマリーケア領域の医療の質を改善することが期待できる。 Step 1:過去10年間(平成15年から平成24年)の血液生化学検査データベースから,50項目の検査データセットの連結可能匿名化データベースを作成した。 Step 2:研究の対象期間を前半の5年間(A群)と後半の5年間(B群)の2つに分割。【超極端値を呈した症例群】の定義:「各血液生化学検査項目の5年間の累積症例集団(重複症例を除く)を,数値順に並べたときの上位または下位の連続100症例」。【短期的予後】の定義は,:「検査後3日以上の入院継続または検査後3日目までの死亡」。対象とした検査項目ごとに,A群とB群の【超極端値を呈した症例群】を抽出。 平成27年度から平成29年度で、次の検査項目の短期的予後、背景因子を診療録から調査した。WBC低値、好酸球高値、異型リンパ球高値、フェリチン高値、D-dimer高値、総タンパク高値、AST高値、LD高値、LD低値、CRP高値、血沈高値、血糖高値、血糖低値、sIL-2高値、血糖高値とD-dimer高値の統計学的解析結果を日本臨床検査学会と日本内科学会で発表した。他の項目についても、順次解析する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超極端値を呈した症候群の短期的予後の診療録調査、また、その予後に影響したと考えられる背景因子や交絡因子の診療録調査、各項目の統計解析が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
血糖高値とD-dimer高値の統計学的解析結果を日本臨床検査学会と日本内科学会でそれぞれ発表した。他の項目についても、順次、解析結果を発表していく予定である。血糖高値とD-dimer高値の解析結果については、論文執筆を開始している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由:統計解析ソフトウエアパッケージの年間契約料が42万円から22万円に値下げされたこと、また、学会発表の内容を論文執筆中であるが、掲載されるまでに至っていないために、掲載料、英文校正料が未使用になっています。 計画:統計解析ソフトウエアパッケージの年間契約料は、消費税が10%に引き上げられなければ、現状維持です。論文執筆に関わる費用を使用する予定です。
|