研究実績の概要 |
臨床検査値の極端外れ値に遭遇したとき、短期的転帰の判断に苦慮するため、極端外れ値の72時間転帰とそのリスクについて臨床検査データベースを用いて解析した。 各臨床検査項目の検査値を降順に並べ、重複や誤採血を除く上位と下位100名の72時間転帰を診療録から調査した。また、血糖(>500 mg/dL)、AST(>3,000 U/L)、C反応性タンパク(CRP >40 mg/dL)、血清無機リン(>10 mg/dL)の転帰に関連するリスク因子を多重ロジスティック解析し、72時間後死亡となった確率をpとしたときの、対数オッズP=log(p/(1-p)の予測モデルを創出した。 超極端外れ高値の72時間後死亡率(%)は、血液ガスPaCO2(67.9),乳酸(63.0),無機リン(47.1),アンモニア(42.9), 乳酸脱水素酵素(42.9),AST(39.0),D-ダイマー(30.0),BUN (26.9),クロール(25.0),ナトリウム(23.7),血液ガスPaO2(22.0),尿酸(21.1)の順だった。超極端外れ低値の場合は、血液ガスpH(100.0),血液ガスBE(44.0),血液ガスHCO3-(41.8), フィブリノーゲン(39.7), AT-3(26.5), 随時血糖(22.6), 血液ガスPaCO2(16.1),カルシウム(14.9),血小板(14.4),中性脂肪(13.7)の順だった。ステップワイズ法で有意となったリスク因子は、高血糖では高CK,低アルブミンと転移性腫瘍の有無(投稿中)、高ASTでは高ALP,高Naと高P(投稿中)、高CRPでは年齢,高Pと低BUN(投稿中)、高無機リンでは年齢,高LD,低コレステロールと悪性疾患の有無(投稿中)だった。 以上の結果から、臨床検査値が極端外れ値を示す場合には、他の検査値との組合せで72時間後転帰を推定できる可能性がある。
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