研究課題/領域番号 |
26460921
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
本井 ゆみ子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60338407)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 皮質基底核症候群 / 皮質基底核変性症 / 進行性失語症 / ドパーミントランスポーターシンチグラフィ |
研究実績の概要 |
平成27年度には当院で新たに皮質基底核症候群(CBS)患者3例と進行性失語(PA)患者3例が追加され、CBS患者20例、PA患者23例が最終登録人数となった。CBS群は左側上下肢の障害を示したものが9例、他は右側の障害であった。左側優位の障害を示した例のうち失語症状を示した症例は2例いた。初発症状は4例が記憶障害であり、他は全例優位障害側の運動障害であった。髄液検査にてADパターンを示した症例はCBS患者のうち3例であり、全例初発症状は物忘れであった。髄液非ADパターンのCBS症例のDopamine transporterシンチグラフィ(DAT scan)は全例がコンマ上または線条体における特異的カウント値が障害側と対側で顕著に低下していた。しかし、髄液ADパターンのCBS症例においても2例においてSBR値の低下を認めた。PA患者は臨床的に進行性非流暢性失語(PNFA)であった例が10例、意味性認知症(SD)が4例,分類不能例が9例であった。髄液ADパターンであったのはPNFA患者のうち2例,SD患者では0例であった。DAT scanは髄液ADパターン、非ADパターンにかかわらず、線条体の結合比は右よりも左で低かったが、PD患者でみられるような、カンマ上の異常を示す症例は髄液非ADパターンであったり、パーキンソニズムが目立つ症例に多かった。DAT scanはADでは低下しないとするのが、一般的であるが、定量的評価と定性的評価の両方を加味することが重要である。CBSにおいて髄液非ADパターンの症例の背景病理は皮質基底核変性症(CBD)である可能性が高く、CBS-ADとCBS-CBDの鑑別にDAT scanはある程度有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他施設からの症例登録が困難であったことから、当院の外来を受診してからの登録としたところ、登録症例が増加した。DAT scanによる評価は安定しており、現在、他の研究で正常コントロール撮影も行っており、線条体結合比の正常値が算出できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在の解析では自施設のドパーミントランスポーターシンチグラフィの正常値が不明であったが、現在、他の課題で当施設における正常コントロールを撮影している。その結果から高齢者(70代、80代)の正常値がわかることになり、本研究における線条体集積比が異常であるかどうかがより明確になり、解析の精度を増し、定量的評価が可能になる。
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次年度使用額が生じた理由 |
髄液検査に用いる抗体の費用が予想より安価になっていたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分とあわせて、抗体を購入する。
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